2015-04-13

お店選びで失敗したくない忍びの皆さまのために――春の18きっぷ旅 播州編(前)

某日。朝、天気予報をチェックする。きょうも18きっぷで出かけるのだ。しかし日帰りで行ける範囲はどこも曇りのち昼ごろから雨。あまり遠くまで行ってずっと雨の中歩き回るというのはどうもな、ということで近場に行くことにした。せっかくだから、去年から白い白いと騒ぎ続けていた姫路城でも見てこようか。改修後オープンして間もないので、すごい人だろうけど。

近場なので、出勤ラッシュ時を避けて遅めの時間に出ても、じゅうぶん観光できるということで、9時ちょっと前の電車に乗車。それでもけっこう混み合っていて、グループで乗っているおばさまたちがにぎやかに城とハルシオンの話に花を咲かせておられる(嘘じゃないです)。城の話題では「整理券」という単語がちらほら聞こえたのだけど、整理券出してるのか。やっぱりすごい人なんだろうな。まあ、アレだ、改修なった天守閣に登ろうって場合だけだろう。べつに天守閣に興味ないからいいや、と思ったのだけど、そういえばわたしは姫路城の何に興味があるのか、実はよくわからないんである。小さいころ、よく両親に連れられて来て、大人の用事のあいだ(このごろでは考えられないことだろうけど)公園に妹と共に放置されていたので、城は見慣れているのだし。まあ、その見慣れていたはずの城が、いまや見たこともない驚きの白さだから、ってとこだろうな。白さ。それだけ。たぶん。


途中、明石で停車したとき、城跡の公園が見えた。桜咲いてる。そういえば明石で下車したことないな。こっちもちょっと寄ってみよう。姫路城行って帰ってきたらちょうど昼時だろうし。あなご丼とか、ああ、明石焼きもいいなあ、食べたことあるようなないような、だしなあ。というわけで、次の目的地も決まったのであった。

姫路に着く少し前に、雨がポツポツ降りはじめた。予報では「昼ごろから雨」ということだったので、もつかな、と思っていたのだけど、まあ、仕方ないな、こればっかりは。駅に着くころには、傘が必要なほどの雨になったが、歩いているうちに次第に小降りになってきた。


さあ、白さを求めてやってまいりました、姫路城。


すごく……白いです。やっとまともに撮影することができました。ああ、バックが青空だったらさらに白さが際立つだろうに。

気になる天守閣へは、


2時間待てば登れますってさ。しかし、すごい人が並んでいる。行きしなにも、若男子の4人組が「天守閣入るだけで1,500円やで」「んでも、入るやろ?」「せやな」いうてたしね。みんな2時間待つんだなあ。すごい。

まあ、わたしは公園の桜を楽しむことにする。もうかなり散ってはいたけど、まだまだ綺麗。




 



綺麗だな、来てよかったなと思う。しかし桜を綺麗だと素直にいえるようになってよかった。昔から、みんなが喜ぶものには背を向ける傾向があったのだけど、べつに桜を綺麗だと思っていなかったわけではなく、単にそれを素直に表明するのがイヤだというか、よく考えもせず他人の意見を鵜呑みにしているような気がしてイヤだという、なんともめんどくさいひねくれ方をしていたのだった。梅のほうがスッキリしてていい、とかいってみたりするような。ああめんどくせえ。
ま、こういうめんどくささがあってこそ、自分でもどこに目ぇつけて歩いてるのかとあきれるような写真が撮れるのではないかな、なんて自己正当化したりなんかして。いや、正当化か、これ?


まあいい。公園の桜は堪能した。天守閣は、人出が落ち着いてから登ってみよう。さっきいった通り、天守閣には興味はないのだけど、昭和のコンクリ再建じゃないのだから、いちどくらい中見ておいてやってもいいだろ、っていう……いや、ほんとにツンデレとかそういうアレでは必ずしもない。ないって。……必ずしも、ってのはなんだよ。


さ、「必ずしも」はなかったことにして、しれっと駅に向かうことにしよう。同じ通りだけど、いきしなとは違う側を歩こうかね。

えーと、なんなのでしょうか、これは。


手裏剣が刺さっとる。食べられる手裏剣なのだろうが……それにしても、全体的に色目が地味だ。白黒グレー茶色と、かなりの渋好み 。目立つことなく食べられるパフェとして、忍びの者に大人気なのだろうか。「小粋な茶店でぱふぇーを食べつつ仲間と謀議を、という拙者の年来の夢を実現してくれた忍者パフェ。手裏剣標準装備で、すわというときにも心強い。リピするでござる」等々の実食レポートが、食べログ(伊賀・甲賀版)に続々寄せられているやも知れぬ。忍びの者は、お店選びで失敗すると命がないのである。死して屍拾う者なし……は、「大江戸捜査網」だな(観たことないけど)。

忍者たちにひっそりと大人気(かどうかは知らないが)の姫路の新名物の写真を撮っていたら、笑顔の素晴らしい、ひとり旅らしきアジア系中年男性に、知らない言語で話しかけられ、カメラを渡された。記念写真を撮ってほしいということらしい。しかしここからでは城が写らないかもしれない。彼の言葉を話せないので、"OK, but I'm afraid the castle might not be in the picture from here"といってみたら、こちらのいいたいことは伝わったらしい。彼の返事はやはり彼の母語(だと思う)だった。言語としてはこちらに伝わらないが、いいたいことはわかった(たぶん)。彼は「よいのです。この街の風景をバックにわたしを撮ってほしいのです」といっていた(きっと)。そらそうだ。彼はこれから城方面に向かうのだから、城との記念写真など、この後なんぼでも撮れるのだ。コミュニケーションは完璧(おそらく)なことがわかったので、こちらも母語でやることにした。「はーい、じゃあ、撮りまーす!」「もう1枚撮りますねー、はい、撮りまーす!」と、2枚撮り、再生して見せてあげたら、「イイデス! アリガトウゴザイマス!」と素晴らしい笑顔でいってくれたので、うれしくなった。「どうぞ楽しんでいってくださいね」といい、別れた。


駅までイイキブンで歩き、姫路おでんはこれで食べる、というしょうが醤油を土産に買い、電車に乗ってから、肝心の姫路おでんを買っていないことに気づくが、まあいい。イイキブンだから。


(続く)

2 件のコメント:

  1. 麸之介様、お久しゅうございます、智助でございます。
    こちらは残念ながら桜は散ってしまいました、完全に。GW前までもつなんて言ってゴメンネ、でも例年はもつんだよ、てへっ(๑≧౪≦)

    忍者パフェこそ智助の求めていたパフェでござる!
    拙者ハットリカンゾウのように木を植えて、それを毎日毎日飛び越え、最後には電信柱を超える高さになった木をも飛び越えるというという訓練をしていたくらい忍者好きでござる!
    智助が電信柱を飛び越えられたかは秘密でござる。

    そして気づきましたか!アメブロの記事を書いていらっしゃる方々の画像のファイル名が見えることに!
    僕は適当につけていた(猫なら「猫洗面所ゲロ1」とか)のでファイル名がばれるとやばいことに!
    これってもしかして当たり前のことだったらごめんなさい・・・。

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    1. ともすけ先生!ともすけのすけは助だったんだね! あ、申し遅れました、コメントありがとうございます。

      先生の訓練法、わたしは小学生のころに読んだ「ひみつシリーズ」、『忍者のひみつ』で読んだことあるよ!
      で、やろうと思ってたんだよ!
      でも、『忍者のひみつ』に書かれていたのは、「麻(成長が早い)の種を蒔いて、それを毎日飛び越える」で、
      麻の種なんてどこで手に入れられるかわからなかった(調べてないけどタキイ種苗にもないと思うよ)から、断念したんだよ!

      先生、姫路にご来駕の際は、ぜひ忍者パフェためしてくだされ!

      画像ファイル名が見えるなんてしらなかったですよ。どうやるんですか?

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