2015-04-04

諦めてのち、バンカラ、かわいさ、そして天狗――春の18きっぷ旅 加州編(中)

(承前)

さて、昼時に昼食をとることをきっぱり諦め、香林坊から百万石通り(すごい名前だ)を、すきっ腹を抱えて東へてくてく。北側に雰囲気のよいレンガ造りの建物。


石川四高記念文化交流館だって。そうか、金沢大って旧四高が母体なのか(っていまさら知った)。


さすがは旧制高校。バンカラがいました。


この写真ではちょっと縮尺がわかりにくいのだけど、バンカラたちは意外に小っさい。



ほら。身長40センチくらいだろうか。バンカラのくせにかわいいって、これどうなの。


そこから少し行くと、道の向かいに市役所。


工事の足場が組んであるのかと思った。


で、市役所のとなりが、一度行ってみたいと常々思っていた金沢21世紀美術館。


通りをはさんで撮ったらこんな写真になってしまったが、前回申し上げたとおり、もはや写真をちゃんと撮ろうという意欲が途切れたわたしなので許してほしい。ところでここ、残念ながらこの日は休館日であった。 そして、これまた行ってみたかった鈴木大拙館も休館日。美術館や博物館のほとんどが休館してるから、月曜が休みってのはあんまりうれしくないのだ。まあ、こういうとこに入ってしまうと街中を歩き回れないから、たびたび来ることがかなわないわたしは、今回は歩く日にしたっていいのであって、さほど悔しくはない。

ちらっと中が見えた兼六園は、どうもすごい人出のようなので、入らずにぐるっと回っていくと、桜並木に1本だけ咲いている木があった。


ほかの木と種類が違うのだろうか。花の色もソメイヨシノより濃いような。


ほほう。


一方そのころ、水中では……


鯉たちは人影のあるところに殺到している。魚といえど寄ってこられるとかわいいもので、こづかい(麩とか)のひとつもやりたくなるのが人情というものだが、あいにくポケットに麩を入れて持ち歩く習慣はないので、禁を犯さずにすんだ。そういえば、わたしも朝のあんパン以来なにも食べていないのだった。彼らの気持ちはよくわかる。

その池の畔の前田利家公。


かぶりものがきんきらきんきら光っている。さすが加賀百万石のお殿様である。


浅野川のほうに向かって歩いていると、こんな物件が。


いわゆる「純粋階段」。鮮やかなオレンジ色がすばらしい、よいトマソン物件である。


とある店の扉に描かれたたこ。妙にかわいい。


たこの足にふられた数字がなんともいえず、よい。

戸口から犬がはみ出していた。


ものすごくかわいい。


浅野川を渡り、ひがし茶屋街へ。はんなりした地区ですね。

ふぐの粕漬けや糠漬けを商う店の看板に描かれたふぐ。


異様にかわいい。このふぐ、初めて金沢に来たとき(おそらく前世紀)に見て、一目惚れしたのだった。また会えてよかった。

建物の裏手を通っていて見つけた。


配管のカーブに沿わせ、角にはアールをつけたていねいな仕事。さすが工芸の街金沢(でいいのか?)。これも、なんかかわいい。それにしても、かわいいものが続々出てくるな、金沢。


雰囲気のよい路地。


路地を闇雲に歩き回っていて、小さい神社の前に出たとき、立っていた警備員さんに、「観光?」と声をかけられた。そうだと答えると、この先に坂道がある。けっこうな急坂だけど、登っていくと右側に石段が見えるので、そこを上がっていくと宝泉寺というお寺がある。高台になっていて、見晴らしがよい。ここから7分くらいだから、時間があるなら行くといい。そう教えてくださった。せっかくだから行ってみよう。お礼をいって、教えられたとおり、坂道を登る。


たしかにけっこうな急坂。


ここですね。お寺への石段を登りきって、まずは街並みを一望できる場所へ。


かなりごちゃっとした印象の街並み。吉田健一が書いた金沢は、浅野川近辺ではなく犀川のほうなんだけど、あの本に書かれていた、路地が錯綜し、誘いこまれて歩いているうちに奇妙な酩酊感を覚える街ってのは、いかにもこうした感じであるのだろうなと納得する。


境内には五本松。


天狗の住むという神木(三代目)。


梢のほうを見てみたが、天狗様はお留守のようで。


下っていく途中、上ってくるときには気づかなかった落ち椿がひとつ。



坂道を降り、先ほどの神社の前に来たら、さっきの警備員さんはいなかった。ていうかですね、それ以前に、なんでこんなとこに警備員さんがいたのかが、よくわからないんですね。神社の前の街角でなにを警備していたのかっちゅう話です。もしやあのお方が天狗様……? だったとしてもやっぱり、その場所における警備員である意味はわからんのであった。


(続く)

2 件のコメント:

  1. 犬ってはみ出すものなのよ!うちの犬もそうでしたよ。なぜなのだろう・・・きっと戸を閉められたくないのだろうな。

    バンカラ3人組は何者なのかとググってみましたが出てこないですね。
    四高の「校章は四稜の北極星。校風は「超然時習」「至誠自治」。」ってのがカッコイイ!
    そして四区には新潟も入っていたのか・・・新潟市の位置から石川は遠い。

    前田利家の頭は本当に?
    幸福の王子みたいに身体の部分の金箔はあげちゃったのかな・・・。

    兼六園スルーとはまさか!と思いましたが金沢は見るところがたくさんありますね。
    子どもの頃は結構行ったのだけど従兄弟とガンプラつくったことくらいしか覚えてないです(汗)

    返信削除
    返信
    1. ともすけ先生、コメントありがとうございます。

      はみ出すものなのか…犬飼ったことないからわからないんですよ(けど、従姉によると、わたし、なんかでっかいのを手懐けて連れ帰ったことはあるらしいです。ぜんぜん覚えてないんですけど)。でもかわいい。

      四高の校風はまさにバンカラですねー。カッコイイ!
      遠いんですよねー。金沢には18きっぷ日帰りで行けるけど、新潟は無理なのよ、先生!


      お殿様は加工してませんよ。かぶりものはまさに金です。
      ああ、この日、金沢の街中をツバメたちがひらりひらりと飛んでいました。きっと金箔を貧しい人々に届けに行っていたのでしょう。

      兼六園は、スルーしちゃいましたよ(笑)。そういえば前に行ったときも、入ってない(笑)。
      フツーに観光できない体なんですねー。自分でもびっくりです。
      え、先生は兼六園でガンプラを(違

      削除