京都文化博物館フィルムシアターで、成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時』を観てきた。「そう来るか」の連続。といっても、別に意表を突く演出とかそういうことではなく、さりげなく置かれた布石が、それ以外ありえない所で生きてくる綿密さ周到さ。しかもそれが、注意深く観ていないとわからないというものではなく、すんなりこちらに伝わる親切設計。感服仕り候。
階段を上る足元を、右から撮るか左から撮るか、それだけのことで主人公の心情をこちらに読み取らせておきながら、最後は無意識に「右か、左か」と待ち受けるこちらの気持ちをはぐらかしてくれるのも、ニクいね。会話のシーンでの、トーストやティーカップを扱う手や目線、そんな細かい部分も含めて、ああ自然ってこういうことだなと感じさせるのは、俳優たちの力量か監督の演出力かわからんけど、感動的に素晴らしかった。
女が階段を上る時 【東宝DVDシネマファンクラブ】
24日(金)
鳩よ……
異変を感じてベランダへの扉をガラっと開けたら、2羽いたな。番だな。あわてて飛び去る姿を見送りながら、それでもコレは許してやろう、抜けて散らばった苗は植えなおせば済むから。片づけながらそう思ったんだ。
それを、おまえたちはなんだ!
帰宅したらこのザマだ。絶対に許さない。明日夜明けとともにベランダに出るからな。棒持って立ってるからな。覚えとけ!……ううう(泣)。
月兎児だけじゃなくて、やっと定着しそうだったレモンバームの挿し木苗もひっくり返されてたからな……
ああ、なんかいろいろ思い出してきた。去年は、ベランダでパラパラ音がするので、なにかと思って見てみたら、多肉植物を葉挿ししている3号鉢ですずめが砂浴びしてたり。うわ、ぴったりサイズ!って感心してる場合か!ってなことが何度も……それから、これも去年のことだけど、双葉が出たばかりのトマト、ぽっきり折ったのは誰ですか!? 食うならともかく、折っただけって!! ほんと誰なんですか!? ……鳩か? ……鳩だな? 鳩なんだな?
ベランダでそんなことが起こっているとはつゆしらず、わたしは仕事帰りになんとなく最寄の市立図書館に寄ってみたのであった。こちらには、引っ越してきた当初、二度ばかり行ったきりだった。いつも本を借りては延滞しているのは府立図書館なのだ。蔵書量の違いもあるけど、市立図書館には机がないというのが、足が向かない最大の理由。しかしここ、森茉莉訳のジイップ『マドモアゼル・ルウルウ』が開架で置いてあるんだなあ。エイモス・チュツオーラが「英米文学」の棚にあったり(英語で書いてたからかなあ)、ミラン・クンデラが「ロシア文学」の棚にあったり(チェコ、もしくはフランスでは?)謎な分類をしていても、「ロシア文学」の棚のほぼ半数がカレル・チャペックだったり(東欧=ロシアという理解なのか?)しても、不問に付してもいいかもと思うくらいだ。
図書館が4階に入っている建物の1~3階は、デイサービスや作業所等の障害者関連施設で、1階のエントランスには、障害のある子供たちのつくった製品の展示スペースがある。きれいに絵付けされた石鹸、額装された手ぬぐいに目が釘付け。どれも販売している。ほしい!と思ったのだけど、地下鉄の定期券を買った後で、もう財布に1,000円くらいしか残ってなかったので諦めた。
28日(火)
今日明日と連休なのだけど、用事があって実家に帰ることになった。用事自体は思いのほか早く片付き、陽気もよいので川のほうまで散歩に出た。出たついでに、土手に生えていたイタドリとワラビを採って帰る。
まずは下処理。イタドリは皮をむいて食べよい長さに切り、半分は塩漬けに、半分はさっと湯がいて水にさらしてひと晩おく。ワラビは重曹を振りかけ、かぶるくらいの熱湯を注いで置き、冷めたら水を捨て、何度か水を替えながらさらしてひと晩おく。
あ、イタドリ1本分は、生のまましょうゆに浸して、夕食のごはんのおともに。これはこれで酸味が利いててうまかった。
29日(水)
カラッと晴れたので、アク抜きしたワラビの半分を干す。
朝食には、味噌としょうがを加えてたたいたワラビに削り節をかけたのを。
ものすごくうまいものではないけど、白いごはんに合う。
午前、妹が姪っ子たちを連れてくる。お義母さんが高野山にお参りされたときのお土産を届けに来たのだった。姪どもに会うのは正月以来。いままでに3度しか会っておらず、もう忘れられているかもと思っていたら、あにはからんや奴らは喚声をあげてこちらに突進してきたので、たいへんにうれしかったのだが、そこは喚声でなく歓声であってほしかった。
そのあとは、姪考案の謎の遊び無間地獄に陥る。ええかげん疲れた中年はむしろ『アンパンマン大図鑑』を熟読していたい。ちょっと、ちょっと休まして、あっ、おやつ!おやつにしょうやぁ、なぁ?と、土産に持参したケーキをちらつかせ、謎の遊びを強制終了。しかしおやつの時間にも、はしゃぎすぎてお茶をこぼして服を濡らしてしまった姪1、着替えがないというのだが、裸で置いておくわけにもいかないので、服が乾くまでのまにあわせに、タオル地の筒型枕カバーを着せて、肩のところを洗濯バサミでとめてみたら、驚きのジャストサイズであった。
物干し場にて。枕カバーのワンピース、思いのほかお気に召したようで、なによりであった。
昼食にも、昨日の収穫をば。イタドリとたけのこ(これは叔父が掘ってきたものだとか)の炒め煮。
ワラビを出汁びたしにしたものに、削り節をかけたの。
ほかには煮しめ、蒸し野菜、きんぴらごぼうなど。メインのおかずは母作の肉餃子、わたし作のツナにんじん餃子(にんじん好きの姪2がよろこんで食べてくれたので、たいそううれしい)。
午後、姪1に乾いた服を着せ、妹家ご一行様お帰り。妹家のお義母さんが、わたしに「持っていんでもらいんせぇ」(ウチのイナカのあたりの方言。「持って帰っていただきなさい」の意)と、妹に持たせてくださった、手づくりのかきもちと干しゼンマイ(これ、ただ干しただけじゃだめで、つくるのに手間ひまがかかるのだ)を、ありがたくいただいて、わたしも帰路につく。
塩漬けイタドリを少し持って帰ってきた。
ほかに、まだ完全に乾ききってないワラビ、高野山の高野豆腐を土産に。
30日(木)
出勤したら仕事が山積みになっていた。終わる気がしないので、定時に上がったった。
晩酌
アテはゆで落花生。うまいなあ。