2019-01-26

冬のふらふら旅 2018-19 ― 近江八幡を歩き倒す 5 (安土編)

(承前)

調査不足のため、というか、当日やることを現地で決めたので調査もへったくれもないといえばないわけだが、近江八幡を歩き倒す企画第1弾で見逃したヴォーリズ建築を見て回り、安土まで足を延ばしたわたくし、当地の目的地「旧伊庭家住宅」を見て、やることがなくなってしまった。安土まで来たのだから、どうせなら安土城跡とか信長の館とかを見たい。しかしここから信長の館や安土城考古博物館のある文芸の郷までは3㎞、そこから安土城跡登り口まで1.2㎞、安土城跡まで山を上って下りて、登り口から駅までは1.6㎞、歩けない距離ではないが、こういうことは1日コースでやることだ。もう午後3時を回っているし、こういう場所で日が暮れるとせつないことになるのだ(各地で経験済み)。

というわけで、目的地を定めずテキトーに歩いてみることにした。駅まで戻り、さて、どっちに行くかな、と見回してみると、遠くになにやら見慣れた形が見えた。間違いない、あれはヤツだ。現場に急行したわたしが見たものは


彼である。なかなかに荒唐無稽なスタイル。歴史ある町らしくちょんまげに草履だが、その間がTシャツにピチパンという個性あふれるコーディネート。服装はなんとかならなかったのか。

先に面白そうなものも見えなかったので、地図を見た。いくつか湧水のあるあたりにでも行ってみよう。

駅前から東に伸びる商店街に入って進む。観光案内所の角に


たまに見かける立体タイプの味わい深さよ。このタイプは手を上げたり旗を掲げたりとルール順守のものが多く、いきなり飛び出す無法者はいないように思われる。彼もお行儀よく旗を掲げていたはずであるが、旗は散逸してしまっている模様。

そこから少し行くと、本屋さん。店名が「めん嘉」さんなので、食堂か製麺所かと思ってしまった。掲示板にはびっしりとチラシが貼られ、ちょっとしたインフォメーションセンターになっている。そのなかに


そうか、キミの名はとび太くんというのか。ていうかキミ「守ろう交通ルール!」とかいいつつ飛び出しているわけだが、いってることとやってることに矛盾を感じないのか。しかし「レアキャラ! あの戦国武将とび太くんも…?!」が気になる。ぜひ発見したい。

案内板で湧水のある方向を確認して、そちらへ向かう。……うん、いますね。


オリジナル系だ。この通りは彼女がやたらに飛び出してくる。二段タイプもある。


下段は事故物件。

彼は各種案内役も務めているようだ。


さて、北川湧水ですが


水が! めちゃくちゃ! きれい! お地蔵さまの足元から湧き出ている霊水とのことで、「足涌(あしゆ)」に腰をおろして足をひたすことにより一切の邪心を洗い流すことができる云々とある。夏には気持ちよかろうな。

英語のほかはラテン系言語の常浜の看板。


この先に舟入跡があったらしいのだが、わたしはカワセミに気を取られていてちゃんと見ていない。

もう少し行くと、常浜水辺公園。だれもいない。そういえば、ここまで来る間、歩いている人にまったく会わなかった。


水鳥はいっぱいいた。遠いのでほとんど見えないけど。

人のいる方に向かうかな、と北川湧水まで戻り、小学校の横を……おっと、いました。


いうところの「0系」。非常に美しく保たれているが、頭になにかテープ状のものが貼りついているのが謎。

そしてこちら、わたくしの好物である塗りなおし物件。


手塗りの緊張感みなぎるタッチがみずみずしい。まず耳の下側のラインが消え、色彩に個性の主張をはじめた段階だが、これから徐々に原型から遠ざかっていくさまが見込める、期待の逸品である。定期的に観測したい。

下校中の小学生集団とすれ違ったとき、だれかが「稗田礼次郎!」と叫ぶのが聞こえたんだけど、聞き間違い、なのだろうな。それとも安土小で大人気なのだろうか。などと考えつつ歩いていて、ずっと先にもう一体とび太くんの姿を発見。わくわくしながら行ってみたが、最初に見た普及版(?)であった。もうしばらく探してみるかなあ、でも小学校から離れた場所、というか「あの戦国武将」ならば、あんまり観光地から離れた場所に設置する意味もよくわからないよな、ということで、諦めて引き返すことにした。だいたい疲れましたよ、もう。食堂と電車以外、歩きづめだし。

駅に向かって帰る途中に見たナイスな看板。



なかなかいい。たぶん営業していない店だけど。

駅まで戻り、土産物でも見ていこうかな、と観光案内所に目をやったところ……いた。こんなところに。


観光案内所の中ですか。「青い鳥はこんなに近くにいたんだね」って気分だよ。しかも入口のすぐ横なのに、なぜ気づかなかったのだろう。旧伊庭家住宅のパンフしか見ていなかったからだろうな。「写真撮ってもいいですか」と尋ねたら、案内所の方が「どうぞどうぞ。ここのドアを開けておいた方が写りがいいんですよ」と、寒いのにわざわざ自動ドアを開けておいてくださった。「ノブナガくん」はこれ一体だけなのだそうだ。駅前が工事中なので案内所で預かっているけど、工事が終われば外に出るとか。次回は外で会おう。


てーことで、帰ろう帰ろう。今日も歩きに歩いてさすがに疲れた。次回は信長コースか、西国三十三所コースで訪れることになろう。しかし……観音正寺はけっこうな登山ではないか、というか滋賀県の公式観光サイトのモデルコースだと完全に山越えなのだが、ワシ大丈夫なんか。さらなるエクストリーム遠足の予感に慄きを禁じ得ないわたくしであった。

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