2022-04-08

柳ケ瀬ふらふら――春の18きっぷ旅 2022 (1)

日を重ねるごとにあたたかくなり、春が本気だしてきたなあと思うが早いか、ヒノキがそりゃもうお祭り状態でわっしょいわっしょいの今日この頃、顔の中心部がとんでもないことになっている麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。中心部、健やかですか。


春の18きっぷ旅、某日は岐阜市で一日遊んできた。JR岐阜駅で本日の連れの方と落ち合い、手土産交換の儀を厳かに執り行ったのち、腹ごしらえをすべく我々は住宅地の中をぽくぽく歩いて開店直後の大正庵へ。


おろしうどん(温)630円、ごぼうの天ぷら120円。
前に来たのいつだっけ、というくらいなので、そりゃ値上がりは仕方ない。麺はコシ強めで大根おろしもごまもたっぷりと、わたくし好み。つゆは関西よりも濃いめで名古屋寄り(というのか)。たぶんこういうのが中部の味なんだろうな。衣を薄くまとったごぼうの天ぷらは相変わらず最高。

腹を満たしたら、清水緑地を散策。サクラが美しく咲いているが、わたしも、たぶん連れの方も、どっちかというと野の花が好きで、下ばっかり見て歩いているのがおかしい。サクラはいろいろな種類があったが、名札がかけてあったりなかったり。スポンサーによるのかもしれない。

散策後、駅の反対側へ出る。例の金の信長公のおられるほう……


さすがは信長公、率先してマスクを着用して(させられて)おられる。公の足下ではなにやらイベント開催中、女性歌手が熱唱していたが、駆け寄った我々は公のマスク姿にもう夢中、イベントには目もくれず、角度を変えて公を激写したのであった。たいへん申し訳ない。

さて柳ケ瀬方面へ……


居酒屋かと思ったらクリニックの広告であった。油断ならんな、岐阜。

この商店街になかなか味わい深い看板があるのですよ、なんて話しながら歩いていたら、人だかり。通行止めもしている。お祭らしく、お神輿が何基も出ている(後で調べたところ、斉藤道三をたたえる「道三まつり」だそうで、そういう催しがあるとは思いもよらなかったほど、祭りに興味がない)(奇祭は見てみたいけど)。


いかなるまつりにも対応可能なバリケード。


汎用性が高い。

柳ケ瀬では徒然舎へ連れて行っていただいた。連れの方が、表に出されたセール本の中になにやら怪しげな洋書を発見。スイス人一家の乗る船が難破、どこぞの島に漂着して繰り広げる大冒険、的な話らしい。表紙イラストの一家はスイス人というよりなんとなくアメリカンな雰囲気。木の上の家、迫りくる大蛇、どうにもこうにもいかがわしい匂い芬々、なんて思っていたが、あとで調べたら岩波文庫から翻訳(宇多五郎 訳『スイスのロビンソン』)が出ていた。なんならウォルト・ディズニーが映画化(『スイスファミリーロビンソン』)していた。これはどうもお見それしました。怪しげとかいかがわしいとかいって申し訳ない。

本日の収穫


ハーマン・メルヴィル『タイピー ポリネシヤ綺譚』(坂下昇 訳 福武文庫)、ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ 』(水野忠夫 訳 上下巻 岩波文庫)、フラン・オブライエン『スウィム・トゥー・バーズにて』(大澤正佳 訳 白水uブックス)。

出店もたくさん出てにぎやかな中を、梅林公園に向かっててくてく。もちろん寄り道も忘れず、なにかありそうな横道を見るとすぐ入る我々。

小(馬+鹿)……


鵜と鮎だ。それと鵜を入れる籠か。


梅林公園到着。遅咲きの梅が残っているかもと思ったけれども、やっぱりほとんど終わってしまって咲いているのはサクラばかり。

と思ったら、スモモも見事に咲いていた。


花を見るのは二度目かな。花柄が緑色で長く、花の中心部が緑がかっている。葉の明るい緑もとてもきれい。

終わってしまった梅の根元では、スミレとタンポポとヒメオドリコソウとコハコベが花盛り。スイバも伸びてきている。


……このネーミングはどうなんですか。


なんの「記念」だったのだろう。それとも「思い起こすこと」という概念そのものが品種名なのかな。

スキマのカタバミ。


ベンチに座ってしばし休憩。目の前の芝生をとことこ歩くハシボソガラスを眺め、ヒヨドリの叫びを聞く。いい公園だなあ。D51もあるし(写真撮ったつもりで忘れてた)。

さて、帰りますかと歩き出すと、公園の端っこあたりのスモモに


「梅ではない 採るな」の札。よほど腹に据えかねているようだ。「スモモ」という札だけでは採る者が絶えなかったのであろうか。ていうか梅は採ってもいいのか。

さて、再び柳ケ瀬へ。露店をひやかしたり古道具屋をひやかしたり、お好み焼きやラーメンがどうにも安すぎると興奮したり、縦横に走るアーケード街をあっちへ行きこっちへ行きくねくねと歩いていたら、どこを歩いているのやらわからなくなる。まあこういうのが楽しいんだけど。よい看板にも出会える。


甘いものもしょっぱいものもあるお店。

ぐるぐる歩いていて、細い通りの向こうに見える大通りを渡ったところに「甘納豆」の看板を発見。「甘納豆の専門店ですかね」「よさそうなお店ですね」ということで急行。


店内のショーケースを見て大興奮の我々。じつは甘納豆だけではなく、落雁や最中もある和菓子屋さんであった。ご主人は物腰やわらかく、お菓子の由来など丁寧に教えてくださった。100g単位の値段が表示してあったが50gで詰めることもできるとのことなので、わたしは大納言とえんどう豆を50gずつ、くず湯を二つ、お土産用に落雁を一袋購入。


(落雁とくず湯ひと袋を遠方の友に送ったあとの写真)
なんといいお店を見つけてしまったのだ。岡女堂、岐阜を訪れる際には必ず立ち寄りたい。

土産も買ったし、少し早めに晩ごはんを食べて帰ることにした。昼間にここはどうだろうかと相談していた店が近くにあるので、そこへ行ってみることにした。経路検索をして、それに従って歩く。え、ここ、さっき通りましたよね、そのお店、見ましたっけ……なんて話しているうちに到着。臨時休業であった。祭りの日なのに。

さて、どこで食べましょうかね。まあデパートのレストラン街ならいろいろ選べていいんじゃない?てことで、岐阜高島屋へ。ここはワンフロアを書籍売り場が占めていたりして、なかなか攻めている感があるなあ、なんて思いつつエスカレーターでレストラン街……カフェ:午後2時30分で閉店、京風(とはなんだ)ラーメン店:午後3時で閉店、すし店:午後3時30分で閉店(以下略)……なんてこった。かろうじて通常営業していた 和風料理 後藤家 に入店。メニューを見ると、なかなか面白い。いろんな味が楽しめる「戦国なんとか定食(ちゃんと覚えてない)(「合戦」だったかもしれない)」とか、それがメインになるのか!という「米なすの味噌焼きと刺身定食」「豆腐田楽と刺身定食」(岐阜、海なかったよね)とか盛りだくさん。連れの方は「米なすの味噌焼きと刺身定食」、わたしは「しの定食」というものを注文。他はだいたい名前を見たらどんなものかわかるものがほとんどなのだけど(「米なすの味噌焼きと刺身定食」とか「天ぷら定食」とか)、「しの」ってなんなんだろうね(「「戦国」はさまざまなおかずが入り乱れて大騒ぎなんでしょ、多分)。説明は一切ない。店の前にサンプルがあったので内容はわかるんだけど、それらの「しの」要素がわからぬ。まあ「松」「竹」「梅」だって別に松や竹が入ってるわけではないのだが。

来ました。


しの定食(1,400円)。
豆腐田楽、えびと野菜の天ぷら、まぐろ山かけ、揚げ出し湯葉巻き(えび)、白飯、香の物、お揚げと菜っ葉の炊いたの、味噌汁。いいじゃないっすか。なにが「しの」なのか、そもそも「しの」とはなにかは皆目わからぬけれども、美味しゅうございました。

さてさて。徒歩で岐阜駅へ。夜の信長公、ひときわ輝いておられますね。


そういえば、今回あの方にはお会いできなかったな。


(↑あの方、2016年のお姿)

さよなら岐阜。また来るよ。クレープみたいなお好み焼きも食べたいし。しかしあれだ、一日いて、どこでも綺麗に咲いていたサクラの写真が一枚もないのには、我ながらびっくりした。飽きたわけでもないのに。

帰宅したら、オブツサ子1号の最初の花が開花していた。主がいようがいまいが、春を謳歌してくれているのがうれしくもあり、淋しくもあり。


この日の連れの方にいただいたものたち。



おいしいおまんじゅう、熊谷守一の刺しゅう入りミニタオル。うれしい。

後日のおやつ。


岡女堂の甘納豆二種。やわらかく自然な味でおいしいおいしい。正直、甘納豆ってそんなに好きではなかったのだけど、これは保存料の臭いがしなくていいですよ。いやー、ほんとにいいお店見つけちゃったな。

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