2015-09-30

日々雑記 2015 Sep. #3

21日(月)

仕事の合間に、某呟き処で、


続けて「どっちかをあきらめるしかない」と呟いたところ、即座に「仕事!」のお声がかかる。こんなとき、ああ愛されてるな、と思うね。いや、なにもおっしゃいますな!人が生きていくには、「夢を持つことが許される」ということが必要なのです。


22日(火)

明日は休みなので、奈良に行こうと思う。奈良国立博物館の「白鳳展」の最終日なのだ。わたしは京都国立博物館の年間パスもってるんだけど、奈良博もこれでいけるんだよね、と確認していて、はじめて知った。いつも映画観に行ってる京都文化博物館、これを呈示すると、割引料金になるのだと。はなはだしく損した気分だが、まあしかたない。これからのことを考えよう。博物館以外はどこに行こうかな。興福寺の北円堂が特別開扉してるし、それも見たい。昼ごはんはどうするかな。よく行くうどん屋さんでもいいけど、こないだ聞いた蕎麦屋さんでもいいなあ……と昼ごはんをどうするか、40分悩んだが、結論は出ず。明日決めよう。


23日(水)

奈良へ。( → 「奈良へ…――蕎麦と鹿編」 )アップできてないけど、後編あります。

このブログのアクセス解析見たら、今日いちにちでウクライナからのアクセスが93件って、なにこれ?


24日 (木)

本日クリストファー・プリースト『双生児 下』読了。呆然としている。すごすぎる。発見したことをつい語りたくなるのだけど、ネタバレなしに語る技術はございません……てことで、読書メーターの感想も書きあぐねているのだけど、ちょっとどういう風に書くか考えよう。双子の兄弟のどちらか が失われている二つの世界が存在していて、その在り様は、ひとつの受精卵の"separation"によって生まれる二人の人間に酷似ああ眩暈が


25日(金)

仕事帰りに小芋ちゃんを買ってきたのだ。きぬかつぎにして食らうのだ。一所懸命洗ったら手がかゆい。しかしきぬかつぎなのだ。


うむ。


26日(土)

今日は久しぶりに弁当つくった。


ぶっかけ海苔めし(麦飯)に、わかめ入りたまご焼き、昨夜のきぬかつぎをリサイクルした小芋ちゃんのうす炊き、にんじんとピーマンの胡麻和え、麩の味噌汁(わかめ後入れ)。

仕事場で弁当食べながらラジオ聴いてたら、「スイーツで子づくり」ということばが耳に飛び込んできて吃驚。3秒考えて、「スイーツデコ作り」だと理解できてよかった。スイーツデコがなんだかは知らんが。

晩酌にもリサイクル小芋ちゃん。


うす炊きを山椒味噌がらめにしたの、糸こんちりめん山椒、ヱビス。……ぜんぶ茶色い。 どっちも山椒味だし。


27日(日)

腹具合がおかしいので、弁当は梅干入れたお粥さん。まあ、昼までにはおさまったのだが。

晩酌


きのこあんかけ豆腐、糸こんちりめん山椒、ブロッコリの胡麻和え、ヱビス。

今夜は中秋の名月ということで。我が家のベランダで月が拝めるのは、真夜中過ぎてから。試行錯誤を繰り返し、手持ちのコンデジなりにがんばりました。


がんばってもこのとおり、ぼやんとしているのだけど。ムズカシイね。


28日(月)

目が覚めたのはいつもどおりの時間だったけど、休みなのでゆっくりした。




くるみパンのトースト、コーヒー。




さつまいもとモロッコインゲンのカレー、クミンライス、じゃがいもとブロッコリのサブジ、にんじんとカシューナッツのライムジュース和え。
いもばっかりだな。しかし、昨夜ブロッコリをひと株蒸したので、せっせと食べなくてはならんのであった。

晩酌


おでーん!
久しぶりにちゃんと昆布とかつおでお出汁をひいて、うまいのができた! そして秋味。蒸しブロッコリ、ちょっと温めるつもりがうっかりして煮すぎてしまった。それはそうと、好きなおでんの具 第2位 の大根は、高くて買えず……


29日(火)

【本日仕事中にふと思ったこと】 「ソクラテスって、赤塚不二夫のマンガに出てきそう」(仕事の内容とは一切関係ない)


30日(水)

今日は文博で、溝口健二監督『西鶴一代女』観てきた。京博のパスを呈示したら、入館料が400円に。2割引とはお得な。ほんとにいままで知らなかったのが悔やまれる、という程度には貧乏なんだな。映画は、もうこれが不幸に次ぐ不幸で冗談みたい、というか大映のテレビドラマみたい。韓流ドラマもこんなんなんだろうか。しらんけど。しかし、田中絹代は上手い。あと、どケチのスケベ親父を演った進藤栄太郎が光ってた。こういう役はこの人に限る。そうだ、館内で会った友人が加藤大介につけたキャッチフレーズが素晴らしくて笑ってしまった。 「小物界の大物」って、うまいこというやないか。それというのも、この人、すごく上手い役者だからなんだよねえ。撮影も素晴らしかった。追いすがる母親をふりほどきながら竹林を走るお春を追うカメラの見事なこと。

2015-09-25

奈良へ...――蕎麦と鹿編

本日、朝も早よから90分間黙って座ってときどき歩き回るだけのカンタンなお仕事をしてまいり、カンタンであっても、意外と精神的にダメージをうけるお仕事もあるもんだなということを思い知りましたが、そういえば毎度毎度あらためて思い知っていることに愕然とした麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。記憶は堅固ですか。わたしは三歩あるいたら大抵のことを忘れます。


シルバーウィークという言葉が実質的に意味を成さない環境で仕事をしているのだけど、最終日の9月23日は休日で、奈良に出かけてきたのだった。前日までに終わらせられなかった仕事を片付けたら、家を出るのが10時前になってしまい、途中まで急行を利用できなかったこともあって、奈良に着いたのはお昼前。ということで、まずは昼飯。前日昼飯をうどんにするか蕎麦にするかで40分悩んでいたのだが、結局決断できずにここにいたる。車中でも、うどんの店の近くには大安寺があって、そこまでの道も風情があっていいけど、もう何度も食べているしなあ、蕎麦の店はすごく評判いいけど、あの辺なんにもないしなあ、とかなんとかぐだぐだ考えてやっぱり決められず、駅に着いたときの気分次第ということにしたのだった。

着いたときは蕎麦の気分だった。とはいえ途中までの方向は同じ。駅から西に歩いて「やすらぎの道」に出る。ここで右に行くか左に行くかで昼飯が決まるってまだ決めてないのかわたしは。えい、うどんだ。で、いったんはうどん方面に歩き始めたのだけど、30歩くらい歩いて、いや、やっぱり蕎麦、と方向転換。優柔不断というのとはたぶん違う。そのときどきで答えは決まっているのだ。尋ねられたら即答できる。ただ時によってその答えが一定していないだけだ。どんな理屈だ。

決まったらさっさと向かうべし。ということでカンカン照りの太陽の下、場所はうろ覚え、店名は忘却の彼方の蕎麦屋を目指して歩き出す、その道中の陽気なこと! いや嘘です。連れもなく、加えてこのところの涼しさにすっかり我慢弱くなったわたしは、暑さにへばり気味でだらだら歩いてました。

ま、道中にはこんなものがあって、一時的に陽気になったりもした。


なにかというと、ワイヤープランツのカタマリなのである。こんななってるの、はじめて見た。奈良は内陸性猛暑の地のはずだが、高温多湿に弱いんじゃなかったのか君は。「夏は直射日光に注意」とかいわれてなかったか。いまガンガンに日が当たってるぞ。

バケモノと化したワイヤープランツをやり過ごし、えっと、この辺で曲がってみるかな。遠くのほうになんか看板見えてるし。

……行ってみたら、それは墨屋さんの看板だった。しかしその向こうに、のれんがひらひらしているではないか。あれだ。

……「営業中」の看板が出ている食べもの屋ではあったが、表にはメニューがなく、どんな料理をいくらくらいで出しているのか皆目わからない。二階のほうには「世界の小麦粉料理」とある。なんにせよ、「小麦粉料理」ということは、蕎麦屋ではない。

うーん、もうちょっと先へ行ってみて、違う通りも見てみるかな、と思ったころ、出し抜けにその店が現われた。


「蕎麦処 和」さん。うむ、目立たない。そして好きな感じのお店。格子戸を開けてなかへ入る。「こんにちは」と言ってみたが誰も出てこない。中は二部屋になっていて、どちらの部屋も二人連れの客が蕎麦をたぐっていた。奥の部屋に勝手に入って、勝手に座るとおばちゃんがお茶を持ってきてくれた。おろし蕎麦(900円)を注文。蕎麦は三種類から選べるというので、田舎蕎麦でお願いした。

はじめに揚げ蕎麦が出てきたので、ポリポリ食べながら待つことしばし、おろし蕎麦が来ました。


ピカピカだ! お出汁をかけてねぎ全投入、わさびを少しずつ溶いていただいた。蕎麦うまし! よかった蕎麦にして! うどんにしてたらうどんにしてたでよかったと思っていたことだろうが(わたしは悩むわりには食にさほど執着はない)、それはともかく蕎麦うまい! しかしいまの時期の大根は味がぼけているので、ざるにしておいたほうがよかったかもしれないと、食べてから思うのではちょっと遅いのだけど、まあいつものことなので気にしない。(ああ、食べ歩きブログではないので、レビューは期待しないでください。じゃあ何ブログなんだと尋ねられたら全力で気をそらしにかかりますので悪しからずご了承くださいませ。書いている本人にもなんだかよくわかってはおらぬのです)
このあと蕎麦湯がたっぷり出てきた。濃くておいしい。揚げ蕎麦もかなりの分量で、はじめミニ天丼も頼もうかと思っていたのだけど、これだけで腹はもちそう。帰りにうどんの店に行くというのもアリだしな。

さて、腹も満たしたし、目的地、奈良公園へ向かう。道々遭遇するのは当然、


……なんだお前は。「新発売!毛皮の手触りワイヤレス光学マウス」(※そんなものはありません、たぶん)か。掘り出されたばかりの鳴門金時か。いやまあ鹿なんですけど、この形はないだろう。それはともかくとして、奈良において鹿はアニマルキングダムの頂点に君臨しているといっても過言ではなく、まさに傍若無人。野放図。いや野生動物だからいいのか、それで。


 鹿 「わしゃ歩きたければ車道を歩くのじゃ。車がよければよいのじゃ」



「渡りたければ信号が赤でもわしゃ渡るのじゃ。人間は青になるまで待つがよい」



「わしゃ掘りたければ養生中の芝生も掘るのじゃ。土は車道に飛ばすのじゃ」



「今日は暑いのう。 暑い時はこうするのが一番じゃ。皆も入るがよいぞ」



「人間は二種類に分類される。鹿せんべいを持つ者と、持たぬ者に。持たぬものは基本的に無視じゃ」 
※写真は、持たないわたしを華麗にスルーなさる鹿様

しかし、そんな鹿様方の上に立つキング・オブ・キングス 、そんな存在が奈良にはいるのである。それが鹿せんべい売りのおばちゃんたちだ!……キングじゃねえな。しかもひとりじゃないし。まあいいや、ともかく鹿せんべいスタンドには、鹿たちは近づかない。そこでせんべいを買った人々には殺到して子どもを泣かしたりする鹿たちがである。静かに座ってせんべいを売っているおばちゃんたちの力量いかばかりか。その底知れなさには、まこと戦慄するのみである。


……んなことに戦慄している場合ではなかった。わたしは別に鹿を見に来たわけではなくてですね、


こういうのとか、


こういうのを見に来たわけですよ。なにやってんだ。


(続く)

2015-09-20

日々雑記 2015 Sep. #2

11日(金)

 部屋に秩序をもたらす過程で混沌が深化(いったいどうすれば)。


13日(日)

一昨日から続いている、部屋に秩序をもたらす作業において、本日、表のドアから居室までのケモノ道が、人の通る道へと整備されました。めでたい。いや、ほんとは道じゃだめなのだ。ここ、ダイニングキッチンとかいう場所なんだから。そのダイニングキッチンをケモノ道にしていたのが「本」というのが、やっぱりちょっとどうかしている。で、拡張工事の詳細はというと、床から積み上がっている本を段ボール箱につめて積み上げたというだけなので、根本的な解決にはいたってないのだがそれは考えないようにしてだね。

カズオ・イシグロについて受けた質問のことでも考えながら、ハタハタのから揚げでビール飲もう。ウチのイナカでは、ハタハタのことをホウネンという。 実家にいた頃は、飯のおかずにホウネンの干物をよく食べた。からあげを食べたことは(たぶん)ないけど、某デパートの催しで見かけて、懐かしくて買ってきたのだ。たまに食べるとうまい。毎日のように食べていたころは特にうまいと思ったことはなかった。


14日(月)

我が家にもついにエアコン様がおいでになった。試運転のとき、工事の兄ちゃんの「植物が……」の声にベランダを見ると、室外機の風でシノブとバジルが暴れ狂っていた。置き場考えないとな。まあ暖房はほとんど使わないだろうし、その頃シノブは部屋の中にいるはずだしで、1年かけて考えればいいので気は楽。


16日(水)

某所でいっしょに仕事している方がブログを書いておられるということを本日うかがって、サイトを覗いてみて、某呟きどころのリンクがあったので見てみたら、アイコンに見覚えが。なんとまあ、3ヶ月ほどまえに、流れてきた呟きに共感して、引用RTした方だった(それをまたRTしてくださった)。こんなことってあるんだなあ。先方はたぶん覚えてはおられないだろうけど。そして次回お会いするとなれば、それは来年の話なので、このことをお伝えできるかどうかはわからないのだけど。なんだか不思議で面白いことだ。さっそくフォローしたりして。


17日(木)

昨日フォローした方に、某所でちょうど昨日話題にしていた画像が見つかったので、名乗りもせずに、「例のアレです」とだけいってその画像を送ってみた。「びっくりした瞬間足が攣ってしばらく唸って」おられたそうで。びっくりさせてごめんなさい。


18日(金)

京都文化博物館に映画を観にいく。通常通り18時30分スタートだと思ったら、本日は19時スタート。空いた時間で常設展を見る。祇園祭コーナーは鯉山の展示だった。左甚五郎作といわれる鯉を間近で見る機会ってあんまりないと思うので、なかなか楽しかった。

映画は溝口健二監督 『夜の女たち』。田中絹代はこういう悲しみやら怒りやらのない交ぜになった複雑な感情を噴出させる役を演るのをみると、ほんとに凄い役者だと思う。『お遊さま』なんかぜんぜんピンとこないんだけど。どうみても乙羽信子のほうが可愛いのに、ああいうことになるのが解せんというのもある。……いや、五所平之助監督 『伊豆の踊り子』の田中絹代は可愛いと思いましたよ……って、なんに対していいわけしてるんだ。

ブログ記事が長くて、どこにどうコメントしていいか迷うとのご意見をいただいた。申し訳ないなあとあらためて読み返したのだけど、あれ写真がデカイから長く見えてるだけなんじゃないの?(居直るなよ)

今日も呟き処では、吃驚することが。わたしがその作品を驚嘆をもって読んでいる作家、絲山秋子さんの呟きを引用したところ、ご本人からリプライがあり、何度かの応酬の末、


いや、ほんま吃驚した。 冗談でなく、手に汗かいた。そしてこのツイにいただいた返信が、


ナイスつっこみありがとうございました! でも、それほどの大事件だったのです、わたしには。


19日(土)

めずらしく土曜休み、なのだが、いつもなら休みの月曜に出勤なのだ。朝はコーヒーのみ。




「残りものの皆さん、迷わず成仏してね」カレー。
材料: 玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、大根、しなびた万願寺とうがらし、厚揚げの生姜焼き、薄揚げとエリンギの炊いたの、麩の含め煮、酒屋でビール買ったらくれたカレールウ。 ごはんは昨日の残りのクミンライス。

……甘い。煮物(とくに揚げが甘い)と、市販のルウを使ったのが敗因。せめてルウを自作すればよかった。


20日(日)

世の中は連休だそうだが、わたしは今日も明日も明後日も仕事なのだどすこい。

昨日の残りもの救済カレーが残りものと化しているので、救済せねば。 たしかシュレッドチーズがあったはずなので、グラタンにでもするか、じゃがいもを切って水にさらし、玉ねぎをスライスして、チーズを出してみたら、賞味期限が5月13日。記憶では最近買ったことになっているのだが。はて。

仕方ないので、じゃがいもを茹でてつぶし、カレーを混ぜ、玉ねぎをみじん切りにして加え混ぜ、ピーマンにつめてサラダ油をかけ、クミンシードをぱらりと散らしてオーブントースターで焼いた。


もとのカレーが昨日の闇カレーで、甘くてカレーライスとしてはイマイチだったのだが、こういう食べ方にしたらわりといける。 あとはじゃこおろしと、ヱビスで晩酌。さて明日も仕事だどすこい。

2015-09-14

金沢21世紀美術館へ行ってきましたりなんだり――夏の18きっぷ旅

秋になったといってもいいすがすがしい陽気の日、夏の18きっぷで金沢を再訪してまいりました麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。金沢文庫って、金沢にないのだそうですね。ずっと金沢にあるものだと思って生きてたわたしは軽い衝撃を覚えました。皆さま最近なにか衝撃を受けられましたか。金沢文庫、実際には神奈川にあるのだそうです。じゃあ神奈川文庫でいいじゃないか。だめか。


9月4日。朝5時起床。定休日が月曜なので、なかなか行けなかった金沢21世紀美術館に行こうと思うのだ。昨日はひどい雨だったけど、今日はすごくいい天気でありがたい。


金沢には昼前に着いた。まずは昼飯。前回あまりの人の多さに断念した、回る寿司屋へ。( → 「ピタゴラス、巨大仏、そして諦めるまで――春の18きっぷ旅 加州編(前)」 )今回は少し待つだけで入れた。あれはやはり、北陸新幹線開通直後だったからなんだろうな。

回る寿司屋なので、寿司は軽快に回っている(当たり前か)。しかし、だれもそれを取ろうとはしないで、注文している。金沢における回る寿司屋の回っている寿司は、実物見本なのだろう。前回学んだので、わたしも回っているのは取らないで、そのままくるくる回らせておく。かっ ぱ巻き、のどぐろ三種盛り、かます、鯵、鰯、たまごを注文して食べた。たいへんおいしく、満足いたしました。ちょっと少ないように思われるかもしれないが、実は朝、トーストしたマ フィンにスライスチーズをはさんだのを二つ食べたにもかかわらず、乗り換え駅でホームにただようお出汁のいい匂いにつられて、ついフラフラと立ち食いそば屋に入って天ぷらそばを食べてしまったのだ。むしろ食べ過ぎ。

さて、腹ごなしもかねて、徒歩で美術館 へ向かう。


市役所前の立て看板。あえてなにもツッコミたくない。


さて、目的地着。わくわくするのう。まずはぐるっと館の周りをまわってみた。


館外の数箇所に置かれたこの椅子がすごくかわいい。


意外と座り心地も悪くない。


こういうのが、点々と敷地内にある。


もうちょっといい場所(芝生がもっさり生えてるところとか)のを撮ればよかった……なんだろ、これ、と思って近づいて見ていると、「だれかいますかー?」という声が聞こえたので、ビビってその場を離れてしまった。 これに向かって話しかけると、どっかのらっぱから聞こえるのですね。返事すればよかった。

入館すると、小学生の群れ。校外学習か……そのせいもあるのだろうけど、平日の昼間なのに、ものすごく混んでいた。さて、見ていきましょうかね。


やっぱりこれ、よかったなあ。ジェイムズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」。


高い天井の中央が正方形に切り取られた部屋。壁際は座れるようになっているので、座ってボケーと移り変わる空の様子を見ていた。鳥が飛んできたりするといいなあ、なんて思いながら。やっぱり、空しか見えないと、平面的に見えるんだな。なんかルネ・マグリットの、風景の一部が、イーゼルにかかったキャンバスに描かれた絵となめらかにつながっている作品を思い出した。しかしここ、何時間でもいられる気がする。曇りや雨の日も、面白いだろうな。


ヤン・ファーブルの「雲を測る男」。


すごくいい。


「雲を測る男」は、パトリック・ブランの「緑の橋」と一緒に鑑賞できる。こんな感じ。


「緑の橋」 には、金沢の気候に合った植物が植えられている。生きている壁。

「緑の橋」のところにいた、ハクセキレイさん。


超カワイイ。そして、以上の作品はぜんぶ無料で見られます(※ハクセキレイさんは展示品ではないので、見られるという保証はありません)。いや、ちゃんとお金払って見るとこにも行きましたよ。


ほら。レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」の「有料の」場所から撮った写真。地上部は無料スペースにある。プールの上のほうがガラス底になっていて、浅い水がためられ、何箇所か人工的に波立たせてある。波は均一でなく、静かな水の部分と波立っている部分があるので、底から見ると、変化がついて面白い。これも飽きないね。プールの底へは地下通路を通って行くのだけど、入り口のほうから明るい青の光がゆらゆらともれてきて、それがすごく綺麗だった。地上からも見てみた。プールの底の人が手を振ってきたので、振りかえす。こういうのが楽しい。そして小学生が案の定、水に手を突っ込んでかきまわしてて、案内してる人にやんわり注意されてた。しかしこの注意のしかたがよかったな。水面の波をよく見て、ほら、同じじゃないでしょ、と、作品の鑑賞ポイントを織り込んで小学生を納得させる。すばらしい。

かと思えば、わたしも入室する際に「お手を触れないでご鑑賞ください」と注意をうけた、カメラ、プロジェクター、マイク、スピーカー等を使用したインスタレーションの部屋で、「触らないでっ!」と大きな声で叱られてる小学生も。それも何度も。「人の話を聞け!」ってことですね。


今回の企画展示は、「コレクション展1 あなたが物語と出会う場所」というタイトルで、恒久展示作品であるアニッシュ・カプーアの “L’Origine du monde” も含まれている(わたしはこれが一番見たかった)。薄暗い部屋の、コンクリートの内壁の一面に傾斜がつけられ、その上方に、真っ黒に見える楕円形。それが描かれたものなのか、穿たれた穴なのか、判然としないのは、光を反射しないから。どうにも不思議な感覚で、立ったり座ったり、位置を変えながら見たりしていた。小学生に解説している係りの人の話が漏れ聞こえてきて、それによると、黒い楕円形は壁面に穿たれた穴で、その内部が濃い青に塗られているのだとか。しかし、“L’Origine du monde”っていうと、ギュスターヴ・クールベだよなあ。これ、真ん前からみると、正面の壁の傾斜のおかげで、側面含めて三面の壁を見ていると、そういうアレが見えてきたりも……まあ詳しくはいわないけど。


このほかに気になったのは、イ・ブルの部屋。天井から吊り下げられた彫刻作品とドローイングが展示されている。「モンスター・ドローイング」と題されたシリーズは、どれも無機的なものの集積が有機的な形を作り出している。彫刻作品の「セイレーン」はこの系列の作品だろう。全体としてみると蝶をイメージさせる形態のようで、無数の触手のようなものがうねうねと突き出しているが、精密な金属部品の組み合わせでできているように見える。同じく彫刻の「サイボーグW8」は、機械の女性の体の胴体、片腕、片足の一部で構成されているように見える。サイボーグって、生体と機械の融合したものだよね。もう一点の彫刻「出現」はギュスターヴ・モローの同名の作品のイメージ。無数の小さな鏡の塊の下に白い布様のものが垂れ、ドレスのようだが、それともこれは、サロメのヴェールなのだろうか。そして突き出す触手。三点とも女性を意識させるもの。で、見ててなんとなく、皮肉のような、悲しみのような、怒りのようなものを感じた。ちょっとこれが自分でもなんでだかはわからないんだけど。単なる印象で、いまのところまだなんの考えもない。この作家の作品を見るのははじめてで、また、これしか見てないので、今後なにかわかるかもしれないし、ひょっとしたらとんだ見当違いかもしれない。なんにせよ、気になったのだった。


入館料は一般360円、大学生280円、高校生以下無料。高校生も無料なんだよ。いい美術館だ。

さて、おおいに楽しんだので、美術館を出て犀川へ向かう。前回は浅野川のほうに行ったので、こんどは犀川。そこになにがあるというのでもないが、室生犀星の詩碑があるらしい。


うっかりしてものすごく遠回りしてしまったのだけど、来ました、犀川。昨日の雨のせいか、水は茶色く濁っている。川べりに下りてみたいのだけど、下りられる所が見つからないので、あんまり面白いものもないような道を川に沿って歩く。あ、ちょっと面白いものがありました。


……こんな顔の人がやってるんだろうなあ。たけし。 店の側面の大きなガラス窓にも、このお顔がデカデカと。名物板さんなんだろうなあ、たけし。


とかいってるうちに、下りられるところ発見。


芝生が青々と気持ちいい。あひるが2羽前方を歩いていたけど、前から来た自転車に驚いて、川のほうに逃げてしまった……向こう岸の芝生に人が倒れている。ね、寝てるんだよね?


あのへんに犀星の詩碑がありそうだなと見当をつけたところで、道路のほうに戻る。


ありました。意外と小さい。着物をかたどっているようだけど、室生犀星をちゃんと読んだことがないので、なぜこのデザインなのかはわからない。


さて、そろそろ駅に向かおう。せっかくなので、長町武家屋敷跡の辺を歩いてみた。と、出くわしたのは、普通の(淡路島のは「Yes, Onion, Yes」仕様だったから、ついこう書いてしまった)コカ・コーラ自販機。


しかし「?」の存在意義が不明。ひょっとしたら100円のはないのかもしれない、と思わせることにいかなる意味が……これはあれか、100円のはないのかも、と不安になった人が、不安を除くために、値段を見ずにはおれなくなり、そうなると商品も見てしまうことになって、販売に結びつく……なんと周到な販売促進方法。(なのか?)


金沢は水路が多く、網目のように街なかを流れている。これは大野庄用水。400年以上前に作られたものだそう。


風情がありますね。スイカや麦茶を冷やしたりもするのかな?



お麩屋さんの看板。 いいなあコレ。ヘッダーに使いたいような……


長町武家屋敷休憩館でちょっと休んだり、足軽資料館を見たりと、のんびり歩いていたけど、そろそろ本格的に帰ったほうがいい時間になってきた。駅の観光案内所でもらった「金沢市観光マップ」を見ると、大野庄用水沿いに行けば、駅の近くに出られるようだ。

と思って歩き出した。しばらく気分よく用水沿いに歩いて行けたけど、あるところで道がなくなった(笑)。ま、方角はこっちでいいでしょ、と歩いていると、また用水が現われたり。用水沿いではないけど、水音が聞こえる道を歩いたり。この状況、ものすごく楽しい。


いい感じの町角に、長ぐつで水溜りに突入するなど、ひとり遊びを楽しむ下校小学生。なんか自分の姿を見るような心持。ここのおうちの雨樋はユニークだなあ。


おおいに楽しみつつ、駅に着いた。前回は目当てのみやげを探すことを諦め、あまりのことに無気力になって富山の駅弁を買うほどに混雑していたみやげ売場が、なんというか、普通の混雑ぶりだった。やはりあれは北陸新幹線開通直後の混乱期だったのだな。駅弁も売り切れてない。というわけで、海の幸満載の、「輪島朝市弁当」を購入して電車に乗り込んだのであった……輪島、ってことは、また金沢関係ないな。まあよいではないかよいではないか。一回行ってみたいんだな、輪島の朝市。

で、これが「輪島朝市弁当」だ!


牡蠣めしにタクアン、たまご焼き、ゴリの佃煮、中島菜の固豆腐、ぶりの角煮、いかとわかめの酢の物、たらのこの旨煮、さざえのいしる煮と、まあどれもこれも、美味いやないか! しかし! 白い飯がほしい! わたしはこの牡蠣めしをおかずに白い飯が食える! いやマジで。



盛大にのどが渇いたわたしは、乗換駅で買った「いろはす」500mlをイッキ飲みしたのであった。

2015-09-12

【Archives】 WLUK 高松編








テーマ:旅
 
坂出を後にして向かったのは高松。坂出との仲が心配される讃岐うどんのメッカ(しまった、陳腐なこと書いちまった)である。


まだびっくりかきあげの余韻が残る。というか、もたれている腹を抱えているわけで、これを解消するために市中をうろつくことにした。


まず出くわしたのが、これ。


うわさには聞いていたが、ほんとうに喫茶店メニューに、うどんが平気な顔をして鎮座している。そして、重要なことだが、うどん県においては「軽食」は2種類に分類される。「讃岐うどん」と、「讃岐うどん以外」に。「その他軽食」に、喫茶メニューとしてはトップ スターであろう「サンドウィッチ」が含まれているのである。おそらく「カレー」もであろう。他所では決して「その他」の地位などに甘んじていないスターたちがこの扱いである。だが気にするな、サンドよ、カレーよ。ここは地元のスターに花を持たせてやるのだ。それでこそ大物というものだ。


うどん県では、鬼もうどんをすすっている。


 香川は鬼も名物なのか。と思ったら、どうやら高松沖に鬼が島があるらしい。


極めつけは、これ。 


なんで、なんで「Scenic Spots(名勝・観光地)」が「さぬきうどん」なのだ!

どうなっているのだ、うどん県!


深い。深すぎる。


これはいちど宿泊もすべきだ。そしてこころゆくまでうどん県を満喫するのだ。主に看板を。


しまった肝心のうどんを紹介していなかった。


もう、うどん屋さんが多すぎて、選べない! えい、駅前のビルに入って、そこにある店にする!と決めたものの、そこでも迷うことになるのではない かというおそれがあることはあった。でもいいやもうどうでも、と、うどん屋酔いとも呼ぶべき感覚で麻痺してしまったわれわれは、ついにビルに飛び込んだの であった。


迷うまでもなかった。そこのレストラン街にある10店舗のうち6店舗が「中華・ラーメンの店」であった。あとは「イタリアン」、「弁当」、「すし」、「うどん」各1


選択肢が1しかないのでそこに入る。どうやらけっこう有名な店の支店らしい。


あっちこっち歩き回ったとはいえ、びっくりかきあげの後遺症は無視できず、油系は無理!なので「生醤油うどん」を注文する。友人は「きつね」。



おいしいけど、ものすごくおいしい!というほどではなかったな……そりゃわたしがいつも食べている食堂のうどん(かやくうどん138円)とは比べ物にならないけど。


あ、いまさらだけど、タイトル「WLUK」の意味は、「ワンダーランドうどん県」の略称である。……くだらない?

2015-09-11

【Archives】 WLUK 坂出編

日中も涼しくなった今日この頃、どれ部屋でも片づけようか、とはじめたはいいが、あれをこうすればこれがああなり、と秩序をもたらす過程で深化した混沌の中、呆然としている麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。お部屋にコスモスはありますか。花じゃないほうの。花でもいいけど。


9月7日、うどん県に行ってきたのだけど、以前入ったうどん屋さんが7月末で閉店してしまっていた。おいしかったのに、残念。ということで、そのとき上げた記事を再掲。 (商品紹介は削りました)



WLUK 坂出編


テーマ:旅

 
1月5日、青春18きっぷを利用して、友人とふたりで香川県に行った。当然うどん目当て。

12時19分坂出駅着。まずは駅構内の「亀城庵」で一杯、と思ったら満席。とりあえず「お待ちのお客様」リストに名前書いて、ゆったりした構えで待った。といいたいところだが、雪もちらつく日のことであった。動いてないと寒い。で、チラシのラックから「さかいでうどんマップ」なるものを一枚取り、悠然と目を通しながらもちょろちょろ動き回った。寒いから。

「さかいでうどんマップ」には冒頭こうあった。うどんの創始者は弘法大師といわれています
……出たな弘法大師。

何の特徴もない土地で出くわす三大伝説とは、弘法大師・弁慶・平家の落ち武者伝説であるというのは定説である。であるかどうかは知らないが、事実わたしが住んでいるところにも、弘法大師が独鈷で突いたら湧き出した水がある。いちど見に行こうとしたら、わけのわからないけもの道みたいな、枯れ葉で足元のとんでもなく悪い急斜面を登ることになり、この道でいいのかという 不安にさいなまれつつ登りきったそこには、看板ひとつあるでもなく、柵に囲まれた穴の底にどんよりした黒い水がたまっているのが見えた。落ち葉がいっぱい浮いていた。名水らしいが、飲めるようにはこれっぽっちも見えなかった。釈然としないまま、いま来たけもの道を引き返したが、結局ほんとうにあれでよかったのかどうかは、いまだにわからない。

このように(強引だな)、これといって名物のない土地であればあるほど、弘法大師出現率が高くなるの だが、香川にはあるじゃないか、讃岐うどんが。そんな全国的に名の知れ渡った、大晦日ともなればニュースで、「ここ香川県では、年越しそばならぬ、年越しうどんで一年を締めくくります」的なコメントが飽きもせず毎年繰り返される、そんな名物があるではないか。なのにまだいうか弘法大師と。なんと貪欲なのだ。さすがは「うどん県」。あなどれん。

そんなことを考えつつ読んだ「さかいでうどんマップ」。「うどんの創始者は弘法大師」で始まる文の締めくくりは当然「坂出市は"讃岐うどん発祥の地"」発言。まあこのあとに「といっていいのかもしれません」と続いてはいるのだが。

いいのか坂出市。高松市がなんかいってこないか。と、坂出と高松の行く末に心を痛めているうちに、名前が呼ばれた。

はやる心を抑えつつ、案内された席に着く。店内はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番が流れ、落ち着いた空間を演出しているかといえば、そうでもな い。流れているのはほんとうだが、誰もそんなもの聴いてない。というかうどんのすすり音でベートーヴェンなどかき消されている。うむ、それでこそうどん県。期待がいやがうえにも高まる。

待ち時間の間に、注文するものは決まっていた。「限定10食 びっくりかきあげ天ぶっかけ」。しかしあわてずメニューに目を通すのがうどん道的礼儀であろう。ほほう、「舞茸天ぶっかけ」というのにも心惹かれるのう、と食い入るようにメニュー を見ていると、おばちゃんがお茶を持ってきて、「ご注文がお決まりでしたらお呼び下さい」といった。で、「あ、びっくりかきあ」で目を上げると、おばちゃ んは消えていた。わたしたちの後に通された二人客(地元民)のテーブルにお茶を出していた。ついでに注文を聞いていた。おーいっ。こっちが先だろ。むむ、さすがは地元民、手練である。いくさ慣れしている。

おばちゃんはそっちの注文を厨房に通した後、「お決まりですか」と聞いてきた。お決まりですとも20分も前から。だがさっきの二人客がそろって 「びっくりかきあげ天ぶっかけ」を頼んでいた。限定10食のうちの2食がすでに押さえられている。また店に入った時点でもう1時前。これはダメかもしれん。と半ばあきらめながら「ありますか」ときいてみた。「ございますよ」の返事。おお、南無大師遍照金剛!とお大師様に感謝し、これで安心、とお茶をすすると、向こうのほうから「びっくりかきあげ天」の声。「かしこまりました!」の返事。ん? まだある? これ、あんまり人気ないの、ひょっとして?

少々不安も頭をもたげたが……待つこと10分、「びっくりかきあげ天ぶっかけ」の登場。

ふふふ、今回は友人が同行している。あるのだよ、デジタルカメラが。初画像!まあ今回と次回で最後かもしれんが。

それにしても、これは……



タバコは吸わないのでとなりにハイライトを置くわけにいかず、スケールがよくわからないかもしれないが、でかい。まんまとびっくりさせられてしまっ た。約120 × 120 × 120(mm)の野菜(にんじん、かぼちゃ、ごぼう、さつまいも)のかきあげがドカンと乗っているありさま。……どうすればいいのか一瞬途方にく れた。くずす、のだろうな、やはり。とにかくお出汁をだばだばかけて、がしがしくずして、うどんにからめ、いただきます。


いつも食べている食堂のうどんとの共通点を挙げるとすれば、うどんという名がついているということか。あと白いということか。それと形状が細長いことか。要するに全然違うということがいいたかったのだが、いかんせん語彙力がこのとおりなのでお許しいただきたい。以下直球で行きます。コシがすごい。たまに噛み切れないくらい硬いのを、「コシが強い」と言い張る負けず嫌いがいるが、そういう硬いというのとはまたちがう弾力。お出汁は化学調味料に頼らず、しっかりうまみがあるけどしつこく残ったりせず、すっと消える後味のよさ。てんぷらの油もよく、この量でも意外ともたれない。意外ともたれないが、思えばこの後高松にも行くのだった。「限定」の二文字に惑わされず、わかめうどんくらいにしておけばよかった。


さて、行ったのは5日だが、アップするのが今日にずれ込んだのは、友人から写真が送られてくるのを待っていたからであって、わたしがさぼっていたか らというわけでは決してないことは必ずしもないこともない。……えー、素直に謝ります。ごめんなさい。さぼってました。

2015-09-10

日々雑記 2015 Sep. #1

2日(水)

とある場所で英語のリズムの話題が出て、行きがかり上、詩を暗唱するはめになって、辛うじて覚えていた、「くまのプーさん」の作者として有名な、A. A. ミルンの "Disobedience" のはじめの2連を諳んじたのだけど、いきなり冒頭( James James / Morrison Morrison / Weatherby George Dupree )で噛んだわ。ハハハ。カッコわるー。でも、もし姪っ子に英語教えて、っていわれたら、これ暗唱させよう。英語のリズムを体に叩き込むには最適なんじゃないかと思う。


3日(木)

涼しくなったので、帰宅してから、いつもよりちょっと気合を入れて部屋を片づけたら、数年間行方不明だったクリストファー・プリーストの『逆転世界』(創元SF文庫)が出てきた。ということは、わたしの「片づけた」の奥には、まだまだ手付かずの荒廃があるということだな。それも数年単位の。これはもう「出土品」という扱いになる。さらなる出土品を求めて、いつか徹底的に片づけよう。いつか。来るのか、その「いつか」は?


逆転世界 (創元SF文庫)
クリストファー プリースト Christopher Priest
4488655033



4日(金)

朝5時起床。18きっぷで金沢へ。詳細はまた書く予定。


6日(日)

某呟き処のTLがカラスで埋め尽くされている。なんでだろう?と思ったら、今日は「カラスの日」なのだとか。何故?……ああ、9月6日→9・6→ク・ロ→crow……バンザーイ!バンザーイ!!バンザーイ!!!ってことか。せっかくなので参加する。


いうても、こんなのしかないのだけど。あと、このブログのと、読書メーターのアイコン。


7日(月)

今日が18きっぷの残り1回を使う最後の機会なので、うどん県に行ってきた。


きざみうどん270円也。今回4店をハシゴして、ほかに、わかめ、ぶっかけ、温玉ぶっかけをいただきました。満腹。一度、かけうどんだけを食べくらべるってのやってみたいし、あと、ほとんどのお店でやってた、セルフの「讃岐おでん」も食べてみたいし、これからもまだまだうどん県で楽しめそうだ。

今回の旅のおともは、クリストファー・プリースト『双生児』上巻。180ページほど読んだけど、大傑作の予感。

双生児(上) (ハヤカワ文庫FT)
クリストファー・プリースト 古沢嘉通
4150205787

双生児(下) (ハヤカワ文庫FT)
クリストファー・プリースト 古沢嘉通
4150205795


9日(水)

台風の影響で、今日の仕事がなくなる。まあ後で帳尻を合わせないといけないわけで、9月唯一の連休がなくなった。

京都文化博物館で、溝口健二監督『浪華悲歌』観てきた。進藤英太郎が通常よりややあっさりめの味わい。娘(山田五十鈴)を警察に迎えに行った父(竹川誠一)の、背広の生地のくたびれ具合にグッときた。そういう細部のこだわりって、当たり前のことではあるのだろうけど。


10日(木)

中国のお土産をいただいた。


「軍の保養所の売店で売ってたので、安全です」だって(笑)。中国語しか書いてないので、なんだかよくわからないけど、アンズのなにかだろうか。「食用方法」は……入れ物を開けてそのまま食べろ、ってことかな? あけてみよう。


箱から、袋入りの餅のようなものが1個ころんと出てきた。いっこ!? この大きさの箱なら、5個は入るんでないか? 化粧箱にはこの小箱が10個入ってたんだけど、てことは、あの25cm×30cmの箱に入ってたのは、この直径2.5cmくらいの餅が10個、ということですか……やりよんな、中国。

お土産をくださった方は、8月はじめから3週間ほどいらしたそうだけど、おりしも「抗日戦争勝利70周年」てことで、テレビでは連日戦争ドラマを放映していて、見ていると「日本人、酷い」と洗脳されそうになったとか。しかし街なかの中国の人々はとても親切で、夜歩いてたりすると、見ず知らずの人が「虫除けのジェル使いなさい、日本製ですよ!」とか申し出てくれたりしたそうな。軍の保養所を宿としてセッティングしてくれたのも、そこには温泉があって、温泉好きの日本人が喜ぶだろうから、ということでだったそうで。人民は冷静で、賢くて、親切だ。

2015-09-09

鼻毛と玉ねぎとここはどこ?――淡路島日帰り旅の記3

(承前)

シャトルバスに乗り遅れたわれわれは、「徒歩15分」の道のりを歩いてイングランドに向かう。暑い。日陰がない。だんだん無口になるので、われわれの通るのに驚いて飛び立つキチキチバッタのキチキチがよく聞こえる。そりゃ驚くだろう。こんな温気のなか歩いている人間はわれわれだけだ。少し待てば、シャトルバスは来たはずなのだ。しかし、にっこり笑う、楽しげなイモムシくんバス(写真は撮り忘れました)に乗るのがなんだか気恥ずかしかったのだ。

歩くこと約10分、イングランドに着いた。入ってすぐにいたのは、なぜかイザナギ・イザナミのあの顔出すやつ。


たしかに、淡路島は国生み神話の地、だけど……ここ「イングランドエリア」、ですよね?

少し進むと、花壇などがあって、ああ、イングランドの花、バラが咲いてい……


……ネッシー? ロッホ・ネスはスコットランドのそれも北部でイングランドからは遠いのでは……しかも今年はスコットランド独立問題とかもアツかったし、こんなセンシティブな問題に鋭く切り込んでいくって……
(まあ、後ろのほうに同じ系統の抽象的オブジェがあって、これ別にネッシーではないと思われるのだけどね)

さて、ふれあいをもとめて「どうぶつふれあい ひつじのくに」へ。おお、いるね。しかし暑いので、だいたいみんな小屋の中にいる。


小屋は扇風機完備。
 


外にいる羊たちは、テントの下にいる。さわってみたら、絨毯の手触り。そら暑いやろ。



彼らの名前は、


……名前はともかく、もうちょっとマシな紹介文はなかったのか。


野菜畑のほうに行ってみた。


さすが淡路島。ここでは島の平和を守るために玉ねぎが戦うのだ。



どうやら、ほかの野菜も戦うらしい。こちらは各種野菜混成チーム。夏野菜ばかりなのが気になる。冬場は戦闘力が落ちるとみた。ピーマンが悪そうなのはなんで?


厩舎の馬たちも見たし、ぼちぼちイングランドを出ましょうかね。


ヒマワリたちは全員うなだれている。われわれも暑さにうなだれ、帰りは楽しげなイモムシくんバスに甘んじて乗車したのであった。


さて、イングランドを堪能したわれわれは、さらに南下する。やっぱり、あれ見とかないとね。

道の駅・うずしお着。えーと……



……ここ、兵庫県ですよね?

下のほうに下りられるようになっているので、行ってみる。


帆を張ってない帆船が凄い速度で航行している。幽霊船でしょうか。



あの泡だっているあたりがうずしおなのだろうな。これは船に乗って見たいものだ。

道の駅に戻り、みやげ物屋で玉ねぎを買い、車に戻ろうとしたとき、目に入ったのがこれ。


コカ・コーラよ……

前面はこんなの。


側面のほうが破壊力が強い。ちなみにとなりの伊藤園はうずしお。


さあ、あとは帰るだけ。帰りは島南インターから高速に乗る。しかし淡路島、下の道も、あまり信号がなくて高速感あったな。

帰りの車窓から見えた風景。


夕方からは雲が多くなってきたので、海の一部を照らす光がなかなかよい。


往路撮れなかった明石海峡大橋。


でっかいわー。(そんな感想しかない)


20時頃、京都着。帰ってきた頃には雨がパラパラ。昨日が台風だったので、なんか奇跡的な一日だった気がする。疲れはしたけど、一日充実していたな。また行きたいものだ。今回温泉に行ってないし、こんどは水仙の季節にでも。