2015-07-31

コソコソコソコソ――本日の「夏休み子ども科学電話相談」 2015/07/31

今日も猛暑日、朝ベランダの皆さんに水や肥料をやっていて、バジルの根元に真っ黄色のきのこが生えているのをみつけて気が動転した麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。なんか生えてやしませんか。


コガネキヌカラカサタケですね。

さて、本日は休日なので、水やりを終えるとパソコン前待機。もちろん例のアレです。ここのところ、国会中継で短縮バージョン続きだったけれども、本日はフルバージョンということで、うれしいかぎり。しかし植物たちには液肥を与えたというのに、自分にはエサを与えていないことに気づいたわたしが台所に行ってロールパンを網で焼き、コーヒーを淹れている間に番組がはじまってしまい、冒頭の先生方紹介を聞きのがしてしまったのは痛かった。


本日の先生方:

植物: 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 高橋 亘 先生
昆虫: 足立区生物園 昆虫飼育担当 清水 聡司 先生
魚:   横須賀市自然・人文博物館 元館長 林 公義 先生
宇宙: かわさき宙と緑の科学館 プラネタリウム解説員 国司 眞 先生

進行は藤井 彩子 アナウンサー。


では、本日の瞬殺。

質問者 「冥王星の南極がどちらかなんでわかるのですか」
国司先生 「『こっちが南』って決めちゃったから

……そ、そうか。


恒例の置き去り案件。

質問 「たまねぎを切ると、どうして涙が出るのですか?」

先生、はじめは「涙が止まらなくなっちゃったんですね。先生もチャーハンをつくるときになりました」からスタートしたのはよかったけど、説明をはじめるとヒートアップ。

高橋先生 「たまねぎを切ると、たまねぎの細胞の中で袋が壊れてプレンクソというアミノ酸とアリイナーゼという酵素が反応して、プロペニルスルフェン酸ができます。それからさらにふたつのものができるんだけど、ひとつは涙を出させる催涙因子、もうひとつは香りのチオスルフィン酸」
質問者 「……はい」

専門用語で怒涛の連打に質問者フラフラ。高橋先生、たいしたハードパンチャーである。とどめの一撃は、

「これ分かったところで何の役にもたたないと思うんだけどね」

質問者もだろうが、わたしが再起不能になりそうだった(笑いで)。そのあとは、どうしたら涙が出なくなるかの豆知識にシフト。タコ殴りの後はお役立ち情報を提供してクールダウン。

① 冷やすか水に漬ける(催涙因子が働かない)
② 温める(酵素を不活性化する)
③ よく切れる包丁を使う(組織を壊しにくくする)

とよいそうです。


今回たまたまふたつ続いた質問に、答え方のスタイルの違いがでていたのが面白かった。

1. 質問者に寄り添いながら、やんわりと軌道修正タイプ

質問 「月にうさぎはいますか?」(小1女子)

藤井アナ 「小1女子ちゃんは、月にうさぎさん、いると思う?」
質問者 「望遠鏡で見たとき、白いのがあったから、いると思う」

この子、ちゃんと自分で観察した結果、いると結論付けたんだな。さて、国司先生、どう出る?

国司先生 「おじさんもねえ、小さいころ、うさぎさんがいるっていわれて、小学校に上がったら頑張って望遠鏡作って見てみたんだよ」

なんと先生は望遠鏡を作るところからはじめなさった。そっからかい!ってコレ驚きだけど、まあそれはおいとくとして。

国司先生 「小1女子ちゃんは、白いのが見えたから、うさぎさんいるって思ったのね。おじさんはね、黒いところがうさぎさんに見えたの。うさぎさんに見える模様は肉眼でも見えるから、観察してみてね」

と、月には黒いところと白いところがあるということに、なめらかにつなげる先生。そして、「黒いところは地面が平らなところ、白いところはでこぼこしているところ。白くてまるいのは、大きな穴で、それはクレーターという」 「40年くらい昔に、月にアポロ宇宙船が飛んでいって調べたら、月には空気も水もないってわかった」と説明して、最後に

「うさぎさんが住むのは難しいかなー」

「いません」と断言するのではなく、質問者が納得できるようにもっていく言葉を選ぶ、先生の優しさが素晴らしいな。質問者、さいごに「くにしせんせい、ありがとうございました」ってどうしようめっさかわいいやないか!(大きいおともだちメロメロ案件)


2. 「違うもんは違うんじゃ」 いきなりカウンターパンチくらわすタイプ

質問 「 どうして木の年輪は幅の広いほうが南で狭いほうが北なんですか?」(小2男子)

藤井アナ 「小2男子くんは、それ、どうやって知ったの?」
質問者 「本で読みましたっっ!!」(めっちゃ元気)
藤井アナ 「じゃあ、先生に聞いてみましょう。高橋先生、お願いします」
高橋先生 「小2男子くん、こんにちは」
質問者 「こんにちはっっ!!」(めっちゃ元気)
高橋先生 「これはねえ、残念ながらそうはなっていないんだよね
質問者 「ほぁ~……」(しぼんだ)

先生、いきなりハードパンチで迎え撃つ。どうしてかがききたかったのに、前提からして間違っていることを明かされ、意気消沈しちゃった小2男子。(大きいおともだちはこういうのも大好物)

それでも基本的に元気な小2男子、先生の「山の斜面などで木が傾くと、木はその傾きを直そうとする。針葉樹は斜面の下側から押し上げてまっすぐにしようとするので、低い方にある年輪の幅が広くなる。広葉樹は逆に、斜面の上側から引っ張りあげようとするので、高い方にある年輪の幅が広くなる」という説明を聞いているうちに回復してきて、最後の「山で迷っても、年輪見て帰ろうとしないでね」という言葉に、「はいっっ!!」(めっちゃ元気) よいお子だ。


まあね、聴いてるほうは、どっちのタイプの答え方も、楽しいのでよし。


さて、本日の忘れがたい質疑応答は、これも連続したふたつの質問だった。

質問 「カブトムシやクワガタムシを強くするにはどうすればいいですか?」(小1男子)

藤井アナ 「長生きする、ということじゃなくて、けんかに強くするってこと?」
質問者 「そう」
清水先生 「たたかわせんの?」
質問者 「……」

「強いということは、長生きにもつながりますが」と話をはじめた清水先生、幼虫のときによいエサをあげて、体を大きくすること。成虫になったら大きくすることはできない。あとは、おなかがすいたら力がでないから、エサをしっかりあげて、と実践的アドバイス。

清水先生 「オスとメスは一緒にしてるの?」
質問者 「はい」
清水先生 「いっしょにしとくと、 女の子の相手するのに体力使っちゃうから、たたかわせようて思うんやったら別にしといたほうがいい」

「女の子の相手するのに」って言葉遣いにシビレました。

それと、ケンカに強くするには、ちょっと弱い相手とたたかわせて、自信をつけさせる。

「負け続けたら、オレはだめだー、って引っ込み思案になんねやんか」

しかしこの後、「たたかわせんの?」ときかれた質問者が黙ってしまった理由が明らかに。

清水先生 「なんでカブトムシ強くしたいの?」
質問者 「1匹だけいじめられてるから、強くしてあげたい」

なんという優しいお子だ……泣いちまったぜチキショー! 先生、理由を知って答えの方向性を変える。

清水先生 「そっか、それは分けてあげないとね。もう勝ち負けの関係ができてしまってるから。でもね、弱いヤツには弱いヤツなりの生き方があってね」

おお、来るか英知の言葉!?

清水先生 「そういうヤツは強いヤツの影に隠れてコソコソコソコソ生きていくねやんか」

……うん、そういう生き方ね。そうだね虫だもんね。一瞬プライドを守る方法を見出せるかもと期待した負け犬男子がバタバタバタと倒れてあたり一面焼け野原ってのが目に浮かんだっていうかわたしが倒れました少しそっとしておいてください。

清水先生 「あとまあ、卵がとりたいなら、弱いヤツとメスを、お情けで一緒にしてやるのもいいかなと思います」

お情けってせんせい……つ、次の質問です。


質問 「お父さんがアニサキスにあたっておなかが痛くなりましたが、魚は痛くないのですか?」(小1女子)

藤井アナ 「お父さんアニサキスにあたったの!? お父さんたいへんだったね、いつ痛くなったの?」
質問者 「きのう! ウフフフフ」
わたし (おいおい、笑ろてるで)
林先生 「お父さんたいへんだったねー」
質問者 「ウフフフフ」
わたし (笑ろてるし)

以下、林先生の説明。アニサキスは寄生虫。寄生虫は、寄生された動物=宿主にはあまり傷をつけないので、宿主が痛みを感じることはあまりない。最終宿主であるイルカやクジラの腸内には、それこそ何十万匹というアニサキスがいる。その卵は、フンに混じって外に出て、それをプランクトンやカニが食べ、それをさらにアジやサバ、イカなどが食べる。人間がそれを食べると、体の中に入られてしまうけど、人間はアニサキスの宿主ではない。それで、

林先生「アニサキスは人間の体の中では栄養が取れなくて、困ったなーって、おなかをくいやぶってなんとか出ようとするの。そのときにすごく痛くなるの」

不肖わたくし、一度アニー経験しましたが、あれはホンマ、シャレになりません……

林先生 「お魚は長時間冷凍するか、加熱するか、あまり生食しないこと。アジ、サバ、イカは気をつけて、ってお父さんに教えてあげてね」

質問者 「あのねー、お父さんねー、アニサキスねー、三回目なのー!!ウフフフフフ」

スタジオ大爆笑。 色めき立つTL!そら小1女子もウフフて笑うわ。質問者よりもお父さんが要学習の巻。あー今日も楽しかった!

2 件のコメント:

  1. しちみ黒猫2015/09/01 16:13

    まとめ、楽しく読ませていただいてます。プロペニルスルフェン酸とプレンクソは覚えたけど、アリイナーゼがどうしても出てこなくて、何度も覗かせていただいてます。この31日回は、かのんちゃんといいカブトムシバトルといい、伝説に残る素晴らしい放送でしたね。

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    1. しちみ黒猫さん、コメントありがとうございます。

      お役に立てたようで、なによりです。専門用語でドシロウトを容赦なく殴りつける高橋先生のプロ魂に痺れました。この回はほんと凄かったですね。わたしは休みの日にしか聴けないのですが、この日が休みだったのは、もう奇跡のようです。

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