2019-05-20

日々雑記 2019 May #2

11日(土)

暖かい季節に実家にいるときは、早朝にイカルの声を聴くのを楽しみにしていて、今朝も5時ごろから待っていたのだけど、来なかった。

実家の食卓に並ぶ料理の品数は多い。うちと比べてということだけど。朝食も焼いたライ麦マフィンとコーヒーだけなんてことはなく、それに加えて炒りたまご、生野菜いろいろのサラダ、蒸し野菜、きゅうりのピクルス、果ては昨夜の煮物や鯵の南蛮漬けまで並んでいた。たぶん他にもあったはずだが覚えていない。

朝食後、妹が姪たちを連れて来た。バドミントンをしたいというので、うちから徒歩10分の公園に向かう。なんだか今はバドミントンブームなのだそうだ。しばらく4人でやっていたが、子供の体力についていけないわたしは離脱、野草を採りにすぐ近くの川へ。

ハマダイコンはほぼ咲き終わりで、種も大きくなっている。


まだ若いさやを採っていると、3人がわたしを探しに来たので、土手に上がり、採ったばかりのさやをみんなで試食。苦味と辛味が子供に不評(あたりまえか)。せっかくなので、わたしがここで贔屓にしているツルマンネングサを見せてやろうと思ったが、生えているところに行ってみたら、まだ花が咲いていなかった。


毎年初夏の連休のころには咲いているのに、長いこと寒かったせいだろうか。今年はいろんな植物の生育がおそいような気がする。

歩きながら、わたしと同じく野生の妹は「これ学校の帰りに歩きながらかじって『スイカの味』って思っとったんねーか」とチガヤを指さした。そうそう、チガヤの穂は、甘くてちょっと青臭いんだ。わたしもかじってた。なんならいまでもかじっている。穂を抜いて姪たちに「この下の方、噛んでみ」と渡す。「スイカだ!」「スイカだ!」とご満悦のふたり。いちおうチガヤという名前を教えたけど、たぶんスイカでインプットされるだろう。

歩きながら姪たちに草の名前をいくつか教える。


これはブタナ。「タンポポと違うん?」 うん、よう似とるけど、タンポポはひとつの茎に花がひとつ。これ、どうなっとる? 「ようけ咲いとる」 そうやね。


「これは?」 それはコバンソウ。昔のお金の小判に似とるでそういう名前。「ジョロムシのお腹に似とるー」 ジョロムシ? なにそれ? 「おならする虫。くさいやつ」(妹家のあたりではカメムシをジョロムシというのだそうだ)「(姪2が草を振りかざし)これはー?」 それはスイバ。よう見てみ、小さいけどお花かわいいやろ。あっ、振り回すなー花粉がー! 「ははははは!」 やめれー!……わーわーいうておりますが(落語か)、帰り道、道端に咲いていた小さな花を「これがラプンツェル」と教えたときが一番受けた。なにせ相手はふたりともディズニープリンセスのTシャツを着用しておったわけで。姪1はラプンツェル(ノヂシャ)を摘んで髪に挿した。

本日の収穫


ノビル、ワラビ、ヤブカラシ、ハマダイコン(実)。

昼食後、母は茶道クラブの部活に行き、我々は書店へ。姪1は読み物、姪2は工作の本を買ってもらい、わたしは古書コーナーでこれらを。


読みきれないのはわかっているのに持参した本は5冊。さらに3冊買うってバカですねわかってます。

午後、妹家御一行がまたしてもバドミントンに出かけた隙に、姪1が買ってもらった本を本人より先に読んでしまったのは内緒だ。


ポジティブさが眩しい。

夕方、妹家御一行様が帰っていったあと、温泉へ。めちゃ混みであった。

持参したデイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』を読んで就寝。


12日(日)

今朝もイカルは来ず。

朝はホームベーカリーで焼いた食パン(厚切り)、目玉焼き、サラダ、叔父さんが育てたスナップえんどうを茹でたの、きゅうりピクルス、コーヒー、バナナ。たぶんほかにもなんかあった。

伝統工芸士である母に、今回の帰省の目的であるかご編みを教えてもらう。第一回目は籐の芯材を使用した基礎編。約1時間でここまで。


「くずかごくらいすぐ編める」とかいっていたがあれは嘘ではないのか母よ。ちなみに伝統工芸士の技がこちら


格が違いますね。

お昼はワラビの信太巻、ワラビのおひたし、厚揚げと玉ねぎの葉とじゃがいもの炊いたの、レンジ蒸し玉ねぎ、野菜サラダ、きゅうりともずくの酢の物、ワラビ飯、お揚げとキャベツの味噌汁。たぶんまだなんかあった。

食後、編組再開。


終わるのかこれ、と思っていたが、なんとか終了。並編みに入って3段くらいは師匠のいうことがわかっていないまま編んでいるが、そのあと「あ、そういうことか!」と理解したのが、編み目を見るとよくわかる。よく職人さんが「見て覚えろ」とか「技は盗め」というのは、口頭では伝えきれないものがあるからかもしれないなーなんて思ったのであった。


麩造 土瓶敷。
不っ細工なのは、編んでいる途中に古い籐がぽきぽき折れたから(だけではなかろうが)。師いわく「材料が悪い」ってアンタ、初心者なんだから編みやすい材料くれよ。ちなみに師は「あかん材料はどうしてもあかん」と制作を放棄していた。わたしはまあ練習ですからね。やりましたよ。あかんもんも編みこなしたるわい(謎のやる気)。しかし指が痛い。弦楽器をはじめたてのときの指の痛みと似ている。というか、これはやっててうっかりすると爪が剥がれると思ったし実際ちょっとヤバい(水がしみる)が、弦楽器では爪は剥がれない、たぶん。

晩は酢豚、ヤブカラシ納豆、ホタルイカとノビルの酢味噌和え、さやハマダイコン入り野菜サラダ、スライスきゅうり、白ごはん、じゃがいもの味噌汁。


13日(月)

朝はピザトースト、じゃがいもと玉ねぎの葉の炊いたの、スナップえんどうの炒りたまご、野菜サラダ、コーヒー。

食後、自室で本を読む。メジロが鳴いている。

昼は近所の店で


日替わり定食(本日はとりのケチャップ煮)550円也。
介護サービス施設が出しているこの店のメニューは、施設のお昼ごはんと同じ日替わり定食のみ。薄味でおいしい。

昨日酷使した指先が痛むので、本日は編組講座はお休みにして散歩に出る。川でワラビを採ったあと、山へ。


電柱の上で美声を響かせるイソヒヨドリ氏。

山に咲いていたオドリコソウ


シャガ


フキがありますね


なんとイタドリもまだあった。

本日の収穫


イタドリ、ワラビ、フキ、アキノノゲシ、ヤブカラシ。
それぞれ下処理をしておく。イタドリはたくさん採ってきたので皮を剥くのに1時間ほどかかったというのに、うっかり茹ですぎて溶けてしまった。ショック。


14日(火)

朝はホームベーカリーで焼いた食パン、レンジ炒りたまご、サラダ、バナナ、コーヒー。

昼は豚こまとキャベツと玉ねぎの炒めもの、ワラビのぽん酢がけ、フキの佃煮(わたくし作)、煮しめ、サラダ、白ごはん、キャベツと玉ねぎの味噌汁。

午後、編組講座 DAY 2。この冬、豆乳の空き箱で代用していたみかんかごを作成にかかる。


ここまで編んで、夕食。まわるおすしを家族で食べた。

さて、かご編み再開。縁のあわび模様編みを締めながら、ふと「かごの内側から編んできたが、これはひょっとして底側から編むのではなかろうか」と思い、師匠に訊いてみたら、やはり逆であったようだ。イチからやり直しだが、わたしは練習ができればいいので否やはない。というか1回やったくらいでは身につかないので、同じものを繰り返せるのはむしろありがたい。


てなわけで、縁編みまでやって、本日は終了。みっちり集中してやって2時間。こんなペースでは職人はやれんだろうと臍を噛んだが、そういえば職人になる気はなかった。(これ編み終わりの部分を間違えてるので、翌日直した)

ちなみに逆向きに編んでいたものは、伝統工芸士が伝統の技でなんとかした。


編みにくかったそうです(そうでしょうとも)。

15日(水)

実家暮らし最終日だが、結局イカルは来なかった。メジロは毎朝来てたけど。

朝は昨日のパンで野菜チーズのっけトースト、レンジ炒りたまご、バナナ、コーヒー。

師匠が用事で出かけ、帰りが遅くなるかもしれないというので、不肖わたくしが昼めしを作成することになったが、どこになにがあるやら。米が使う分だけ精米してあった(ちなみに実家の家庭用精米機の名前は「まいこ(米子)ちゃん」。妹の命名)ので研いだけど、炊飯器の使い方がよくわからない(ついでにいうと米の正確な量もわからない)。米と水を入れて「炊飯」と書いてあるスイッチを押すだけでいいんだろうけど、機械の癖とかあるだろうし、硬さの好みもあるだろうし(父は好みがうるさいくせに自分で料理しないので、水加減など知る由もなかろう)。これ使ってしまわないと、と師にいわれていた賞味期限切れのじゃこ天と本日が消費期限の厚揚げ、あと昨日の豚肉の残りも使ってしまったほうがよかろう。キャベツを見つけたので、いつかどっかで見た春雨と炒めるやつにしよう。春雨も発見できたし。あと野草。

てことで昼食の献立は、豚こまとキャベツと春雨の醤油炒め、厚揚げとアキノノゲシの炊いたの、ワラビの生姜あんかけ、ヤブカラシのおひたし、フキの佃煮(つくりおき)、玉ねぎとじゃこ天の味噌汁、白ごはんに決定。

昆布と煮干しを水に浸けておいたのを火にかけて出汁をひく。この出汁を別鍋に取り分け、砂糖を入れ厚揚げを煮て、しばらく煮たら醤油を加える。残った出汁の鍋の煮干し(頭とはらわたは取ってある)はそのまま、昆布は取り出して刻んで戻し入れ、玉ねぎとじゃこ天と煮込む。小鍋に湯を沸かし、粉末かつお出汁、塩、醤油で味つけしておく。しょうがをすりおろしてスタンバイさせる。このへんで師の帰宅は望めぬとみて見切り炊飯GO。アキノノゲシを食べよく切る。ワラビとヤブカラシも切ってそれぞれ器に盛る。春雨を熱湯で戻して包丁を入れ、キャベツと豚こまを切り、まずは豚こまを温めた鍋に投入、よく焼けたら返して醤油を加えてじっくり焼き、キャベツを投入、キャベツがしんなりしたらさらに醤油を加え混ぜる。ここで厚揚げ煮の鍋を再び火にかけ、沸いたらアキノノゲシを加えて少し煮て、火から外す。その跡地で玉ねぎとじゃこ天の鍋を温め、沸いたら味噌を溶き入れて火を止める。次はかつお出汁の小鍋を火にかけ、沸いたら水溶き片栗粉でとろみをつけ、生姜を加えてワラビにかける。豚とキャベツの鍋に春雨を投入、汁気を吸わせながら焼いて出来上がり。ヤブカラシに花かつおを乗っける。ごはんも炊けた。師匠も帰宅。完璧。

午後、師匠はまたも用事で出かけ、残されたわたしは自力でかごの縁の始末をし、なんとか完成。


第2作 盛りかご。
帰宅した師に細かい部分は直してもらった。

夕方、梅干し入りの巨大おむすびをふたつ持たせてもらい、帰路に就く。

ウチについたら即ベランダに出てジョウロをひっつかんで台所にとってかえし、水を汲んでベランダの衆に水をやる。みんな無事だったようでなにより。ミントを挿した鉢に謎の芽も出ているが、これは一昨年採ってきて蒔いてみたものの発芽しなかったカンサイタンポポかも。水を好むフキは腰水にしておいたがカラカラになっていたので、もしかしたらダメかもしれない。


16日(木)

朝見たら、フキは生きていた模様。不帰のフキにならないでよかった。はい、ダジャレやめましょう(自戒)。

朝は駅前のコンビニで、なくなったのかと思っていたゼリー飲料を発見して(要するに置き場が変わって探しきれていなかっただけだった)「エネルギー補給」のものと「脳のエネルギー補給(ぶどう糖)」のものを購入して車内でチャージ。

午後1時過ぎに帰宅、妙に疲れていたし頭痛も酷かったので布団を敷いて倒れていたら眠ってしまった。起きて茶を淹れ、食パン2枚を焼かずに食べた。

帰省中に出てきた謎の芽


葉にくっついている種の殻からいって、やっぱりタンポポだろうな。

夜ははやめに寝てしまう。


17日(金)

トータルで9時間ほど眠ったが、疲れがとれていない。


18日(土)




茹でたスナップえんどう、トマト、炒りたまご、トースト、紅茶、なつみ。




にしんの塩焼き、スナップえんどうのおひたし、白ごはん、玉ねぎとトマトの味噌汁。
にしんは2尾入りのパックを買ったので、もう1尾は煮付にしておいた。

午後、風呂を入れる。日の高いうちに風呂に入るのは、ただ気持ちいいだけでなく、わずかに罪悪感をともなうのがなんというか最高だと思うのだがどうか。風呂上がりのみかん(なつみ)がまたうまい。

京都文化博物館へ。


成瀬巳喜男監督の『女人哀愁』を観る。まずこれが1937年の映画であることに驚いた。タイトルだけ見ると「理不尽に耐える女性」の映画みたいだけど、内容はきわめて現代的、というか、女性を抑圧するもろもろの事象に女性自身が気づいて立ち向かう姿が描かれていた。ラストシーン、婚家を出たヒロインは晴れ晴れとした顔をしていたけれども、むかーし受けた講義で「イプセンの『人形の家』のノラは家を出た後どうなったかというと、それは野垂れ死にしたでしょうね」と語った美学の教授の言葉を思い出してしまった。あともうひとつ驚いたのは、映画の友が「これ一回観てますよ」といったことだ。まるっきり覚えがない。

友「入江たか子が嫁入りして丸髷結ってるじゃないですか、それ見て思い出した」
わたし「いやーぜんぜん覚えてないけど……しかしあの髷はカツラなんかな」
友「あなたソレ前回観たときもいってましたよ」

人間そうそう進歩などしない。

晩酌


アテは胡麻豆腐とスナップえんどうのおひたし。


19日(日)




バナナチーズトースト、豆乳エスプレッソ。




にしんの煮付、トマトと玉ねぎのサラダ、白ごはん、わかめの味噌汁。
にしんは塩焼きも悪くないけど、煮付がいちばんうまいと思う。きのう浅く煮て鍋のまま置いておいたのを、きょう煮詰めて仕上げた。サラダの緑は、去年の種が落ちて勝手に生えてきたベランダ産コリアンダー。まだ大きくなっていないのに、もう花芽が上がってきたので摘んだ。

今日も文化博物館へ出かける。


「美を競う 肉筆浮世絵の世界」。そういえば肉筆浮世絵はあんまり見たことがなかったのだった。版画は絵師、彫師、刷師それぞれの技が楽しめるのだけど、肉筆画は絵師の精緻な筆を堪能できる。表装もまた見ものだった。窪俊満「桜下美人」など、画面上方に連なり飛ぶ雁、中央右寄りに花咲く桜の木と美女が描かれていたのだけど、その外側を飾る布地は飛ぶ雁の織模様に鹿の子絞りが散らされていて、絞りの模様がちょうど桜の花とつながるように配されていてニクい。浮世絵なので美人画が多いわけだが、小さい作品に好みのものが多かったな。梅翁軒永春「遊女と猫」、愛猫を見る遊女の口元が小さく笑っているのがほんとうに愛らしかった。葛飾北斎の構成力の凄さはまあわかっていたのでフムフムという感じだったけど、勝川春英「弁慶」の構図の大胆さには痺れた。しかし、いつものことだがわたしの好きな絵のポストカードはない。「弁慶」(「金太郎」のほうはあった)も、「遊女と猫」も。あ、勝川春草「美人と達磨」はありましたね。これもよかった。

土産に北斎漫画の手ぬぐいを買った。


出品作品じゃないけど、この顔芸に負けた。あと歌川国芳「猫飼好五十三疋(みょうかいこうごじゅうさんびき)」の小風呂敷と猫柄のふんわり手ぬぐいも。これらも出品作品ではないけど。

特別展のチケットで常設展も見られるので、もちろん映画を観る。今日は『おかあさん』。中盤でいきなり「終」が大写しになって、えっ、と思ったら主人公が映画館で見ている映画のものだった、なんてお茶目に笑わされつつも、細やかな演出のうまさにうなる。しかし、後ろの席のおばちゃん、ずっと大きな声で笑ってて、それはぜんぜん構わないのだけど、その笑いのツボがまったくわからないのが気になって仕方ない。とくにラストシーン、預かっている甥っ子と相撲をとって楽しそうに笑っているおかあさん(田中絹代)の姿に、娘(香川京子)の「おかあさん、わたしの大好きなおかあさん、幸せですか? わたしはそれが心配です」というナレーションがかぶり、母ものに弱いわたしが泣きそうになっているところにおばちゃんの高笑い。いや、そこ笑うとこちゃうやん?


20日(月)

謎の芽に本葉が出てきた


ぎざぎざの葉っぱ。カンサイタンポポで間違いないですね。それにしても、発芽率がこんなにいいとは思わなかった。




砂糖チーズトースト、コーヒー。

さやからはじき出したえんどう豆を湯がいて水に取り、塩味をつけて冷ました昆布出汁にひたしたもの(左)と、冷ました茹で汁に戻し入れたもの(右)。


茹で汁に浸けたものは、あした茹で汁ともども豆ごはんを炊くのに使う予定。ほんとは生を炊き込むのがおいしいのだけど、すぐに使えないので茹でておいた。

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