21日(火)
起きてすぐ、昨夜洗っておいた米で豆ごはんを炊いた。
最高。
みょうがの甘酢漬け、粟麩の照り焼き、豆ごはん、インスタント味噌汁(しじみ)。
豆ごはんは米1合ぶんを炊き、粟麩は一袋ぶんを焼いたが、うめーうめーとお代わりして結局ぜんぶ食べてしまった。
晩酌
アテはお揚げの焼いたのに醤油をかけて。
百閒先生いうところの「ジンバリ」ですね。
22日(水)
朝
トーストにバター、紅茶。
本日のにゃー(三連)
手前から「なんだおまえ」「なんだろあれ」「なんだおまえ」
23日(木)
朝は駅前のコンビニで調達したウィダー in ゼリー(エネルギーチャージ)。
今日のお昼はここで、と決めていたうどん屋さんが、行ってみたらお店をたたんでしまっていた。ここの定食は丼(いろいろあるけど、わたしはいつも衣笠丼)とハイカラうどんのセットで、どっちかがミニということはなく、うどんも丼もレギュラーサイズで850円だったのだ……ちょっと前は800円だったのだ……失意のあまりその足でホームセンターに赴き、ニガウリの苗(春に気温が上がらず、去年採った種を蒔きそびれてどうしようかと思っていた)を買って帰宅、飯も食べずにベランダ農作業に没頭。暑さと空腹で目が回ってきたので部屋に引っ込んで蕎麦を茹でた。
盛り蕎麦。
ざるが大きいので少なそうに見えるが、二人前ある。
明日はウチにいるので、懸案の作業をやっつけてしまおう。じゃなくて仕事ですね、まずは。
24日(金)
朝
トーストにバター、コーヒー。
ウチで仕事をしているが、なにかとベランダに出て植物たちの様子を見たりしてしまうので、一向に進まない。
昼
干し大根の醤油漬け、お揚げとにんじんとキャベツの炊いたの、麦飯、ハイカラうどん。
昨日の悲しみを乗りこえるべく、間に合わせの材料だけど、うどん定食にしてみた。うどんのねぎはベランダ産。
午後も土づくり、育苗していたトマト(食べたものの種から育てた)とナガイモ(去年ムカゴから種イモをつくった)の植え付け、バジルやシソ(こぼれ種から生えてきた)の間引き、帰省前におっことしたオブツサ子の株分けなど、農作業がおおいに捗ったのであった。仕事の進捗は聞かないでほしい。
晩酌
アテは高野豆腐とえんどう豆のたまごとじ。
暑すぎるので、掛け布団を薄掛けに替えた。ガーゼケットでもいいかもしれない。明日はたのしみにしていた薬科大の薬用植物園の一般公開に行くのだけど、予想最高気温は34℃だとか。
25日(土)
(本日の日記は前半が長編化したので独立させました → 「今日はいちにち薬草三昧(ハムレットもあるよ)」 )
昼は近所のインド料理屋で
ランチタイムのナンカレーセット。ナンはプレーンでおかわり1枚、カレーはほうれんそうとじゃがいも、飲み物はプレーンラッシー。
午後はホームセンターで10号深鉢、花と野菜の土14ℓ、鉢底石5ℓを購入。店員さんに「提げていかれますか?」と尋ねられ、はいと答えると袋を2重にしてくれた。「提げていかれますか」にはおそらく「お車まで」が省略されていたであろう。どう考えても10キロ以上の重量のものを提げて、まさか歩いて帰るとは思うまい。歩いて帰ったけど。うちまで2㎞だけど。この暑さの中で気が遠くなったけど。こんどはリュック背負って行こう。いや、また歩いて帰る気か。
帰宅して荷物を置いて水を飲み、しばらく倒れてからまた出かける。いつもの書店で注文していた本を受け取り、また何冊か注文、明日で閉店してしまう文具店のセールで文具など数点、カルディでコーヒー豆(バードフレンドリーブレンドとツッカーノブルボン)とオーツブレッドを買って帰宅。
本日購入したものたち
サミュエル・ベケット『モロイ』(宇野邦一 訳 河出書房新社)、服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season 2』(集英社)。どんな取り合わせだ。
ペンテル サインペン トートバッグ(日本語ではよくあるタイプの紹介文をそのまま訳してしまった感あふれる英文がむずがゆくてよい)、マルマン スケッチバインダー、ミドリ MD ノートブック ペーパーカバー 新書。ほかにルーズリーフ、緩衝ケースも買った。全品3割引きだったのはありがたいけど、お店、なくなってしまうんだな。レシートに印字された「またお越しくださいませ」を見て複雑な気分。お世話になりました。
今日はよく動いたので、大きいコップでビール
アテは柿の種(ピーナッツなし)。
寝床で『映子さん』を読もうとしたが、夜も更けたことゆえ笑い声をたててはならんと頑張れば頑張るほど妙な声が漏れてしまうので、読むのをあきらめて寝る。
26日(日)
昨夜ふと目について気になっていたことを確認
間違いない、ランポーくん(碧瑠璃鸞鳳玉)がやる気だ。いいぞいいぞ。
農作業後の朝食
茎みょうがと間引き野菜のうどん。
コリアンダーの花芽、間引いたシソ、バジル、タンポポ、勝手に生えてきたミチタネツケバナを使用。茎みょうがはお安くてよい。
これで100円ですよ。
昼は寿司にしようと思い立ってつくりはじめた。別にめでたいことがあったわけでもないのに寿司にした理由は、
➀ みょうがの甘酢漬けを食べ切って、漬け酢が残っていた
② 開封した高野豆腐を早く使ってしまいたかった
③ 茎みょうがが大量にある
④ 急に暑くなったので団扇を出した
というところ。深い意味はない。思いつきでつくりはじめたので干瓢(わりと好き)はないし、たまごが切れているし、たまごの代わりに使えそうな乾燥湯葉は肉厚のものしかないので戻すのが間にあわないし。でもまあ、あるものでなんとかなった感じ。
てことで、昼
昆布の佃煮、ピーマンの丸炊き、ばらずし、わかめの味噌汁。
昆布はだしがらを使用。寿司には干ししいたけ、高野豆腐、にんじん、きゅうり、茎みょうが、煎りごまを混ぜ込んだ。ピーマンの丸炊きをつくると、夏が来たなと思う。いや、まだ5月……
晩は寿司の残りを食べて、茎みょうがをのっけた冷ややっこでビールを少々。
27日(月)
株分けしたオブツサ子ズに初水やり。
奥右の一株から増えた皆さん。いろいろワケありで徒長させてしまったけど、また締まった体にしてやらねば。しかし置き場を考えないとな。
朝
お揚げと玉ねぎのうどん。
晩は、朝の残りのお揚げと玉ねぎをたまごとじにして、ビールを少々。
28日(火)
雨が降って気温が下がったが、湿度のせいで全身が痒い。そういう季節になりましたね。
白バラコーヒーがうまい。
夜、先週末に訪ねた薬用植物園の記事を上げた。うすら寒いので焼酎の湯割りを飲む。アテは板わさ。
自分の発言に影響力があるとは思わないけど、今日起きたもののような事件に関して、発言が意図しないところにも届いてしまう Twitter のような場ではなにもいわないでおこうと決めたし、また誰かの発言を拡散することもしたくない。たとえそれが感情を交えない冷静な分析であっても、関わる人々の心を抉ることはある。聞きたくなければ耳をふさげ、見たくなければ目をつむれ、というのは傲慢な態度だ。加害者に投げつけたつもりの言葉でさえ、その言葉が刺さるのは別のタイプの人々であることはある。この件に限らず、内心でなにを思おうが自由だし、その自由は侵害することが実質不可能なので、それはその人だけのものだけど、それを言葉にして外に出せば、もうその人だけのものではない。
29日(水)
朝
カレー風味野菜炒めラーメン。
マルちゃん正麺(塩)に、魚肉ソーセージ、玉ねぎ、にんじん、キャベツ、もやしを炒めてカレー粉で風味をつけて乗っけ、一味唐辛子を少々。
ずいぶん日が長くなった。道端の植物たちの顔ぶれも初夏らしくなった。
シロバナマンネングサ
アスファルトの隙間で毎年咲いている。冬に少しぶっちぎって持ち帰り、土に挿しておいたものは無事に根付いたけど花はまだ。
ハクチョウソウ(ガウラ)
ハクチョウは白鳥ではなく白蝶。もうちょっと蝶っぽく撮れたらよかったけど、風で揺れるのでなかなか難しい。最近増えてきたような気がする。
タチアオイ
これが咲くと、まさに「夏!」って感じですね。
30日(木)
朝は昨日買っておいたたまごロールと先週買ったが飲まなかったゼリー飲料(ぶどう糖チャージ)。
夕方、ウールのめっさかさばるコート2着と喪服をクリーニングに出して、あたりを散歩。フキでも採ろうかと思ったが、行ってみたら草刈りで消滅していた。がっかり。
門番のようなトゲヂシャ
いかつい姿だけど、夏の終わりに咲く小さな花はとても愛らしい。
ヤグルマギク
光っている。
本日のにゃー
水のない川でひなたぼっこ中。
帰りにホームセンターへ。こないだ買った14ℓでは用土が足らなかったのだ。さらに14ℓを買い、洗濯ものを入れていったエコバッグに入れた。肩にかけられるので持ち運びは前回より楽だが、今日はさすがに電車に乗った。膝に載せた、西日をガンガンに浴びた土が熱かった。
31日(金)
朝
めかぶ納豆そば。
夜、買いものに行ったら、スーパーに隣接する某薬局のロゴの上でツバメ夫妻が眠っていた。
巣を作り始めたところなのだろう。がんばれ。
晩酌
アテはちくわとセロリのカレー醤油炒め。
2019-05-31
2019-05-28
今日はいちにち薬草三昧(ハムレットもあるよ)― 京都薬科大学 薬用植物園 御陵園を訪ねて
先月は真冬日があったような気がするのですが、このところの真夏日、というか猛暑日ってどうかしてませんか、大丈夫ですか地球は、とグローバルな懸念を表明しつつ、まあ地球にしてみれば、数十億年これでやってきたわけだし所詮泡沫みたいな生物になんかいわれてもなーとか思ってんじゃないかと、悩むことがばかばかしくなった麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。そうはいっても自分が生きている間は過ごしやすくしていただきたいものです。泡沫みたいな生物としては。
5月某日、快晴。いいお天気でよかった。本日は前々から楽しみにしていたところへ行くのだ。動き回ることになるだろうから朝は軽めにしておこうと、紀文の豆乳飲料 紅茶(妙なのも含めて毎年いろんな味が登場するけど、結局これが一番好きだ)を飲んだ。
さて
『フィールドベスト図鑑 日本の薬草』(小学館)。
使うかどうかはわからないけど、一応これをかばんに入れ、9時過ぎにはうちを出て地下鉄に乗る。Y駅で下車、三条通を西へ。帽子をかぶりリュックを背負った人々(中高年が多い)が大勢同じ方向に歩いているが、多分この人たちと目的地は同じなのではないかと思われる。けっこう人来るんだな。途中、水を持参するのを忘れたのに気づき、ドラッグストアに寄ってペットボトルの麦茶を買う。目的地は三条通から南に入ったところにあるのだけど、曲がり角のところに腕章をつけた係の人がいて誘導してくれていた。親切だ。
来ました。
毎年冬に一般公開している(が、来たことはなかった)京都薬科大学の薬用植物園 御陵園が、今回はじめて(だと思う)初夏に公開するというので。初夏、って今日はもうすでに30℃いってるんじゃないのか。おかしいやろ。5月やぞ。
公開は10時からというので、だいたい10時に着くように来たら、時間前から来て待っていた人々が入場していくところだった。たくさんの人が来園しているので入場制限がかかり、整理券が配られた。わたしがもらったのは24番の札。ちょうどわたしが受け取ろうとしていた時に、「自転車どこ置いたらいいんですか!」とかいいつつ突入してきて、場所をききながら手を出して整理券を受け取っていった二人がいたんだけどね。わたしの後ろにはかなり長い列ができてたのに。ほかにもスタッフさんが数人いたのにわざわざ券を配っている人に聞きに来るってこれ割り込む気マンマンじゃないのか。すごいな。軽く呪ってもいいかな。「おまえらのうちの冷蔵庫の扉がうっすら開いて、帰って飲むつもりで冷やしておいた麦茶が生温くなってますように」程度の呪いならいいかな。とか思いつつ日陰に入って待っている間にも続々と人々が訪れ、隣に来た人の番号がちらっと見えたが120番台。どんだけ娯楽がないんだY区……じゃなくて、植物好きが多いってことか。あと薬好きか。中高年多いからな。薬は好きだろう。好きとかそういう問題じゃないのかも知れんが。あと小耳に挟んだ情報によると、どうもテレビで紹介されたらしい。
いよいよ入場。
広い園内に人が大勢いるので全景は写さない。とくに順路はないということなので、空いているところから回ろうかな、と思ったら
まあこういうことになりますわな。これからが期待される畝。
シャクヤク
花の時期がほぼ終わりなので、綺麗に咲いているのはあまりなくて、これもちょっと終わりかけ。
オランダシャクヤク
こちらは花盛り。よく似ているけど、シャクヤクは「鎮痙 鎮痛 収斂」、オランダシャクヤクは「鎮痛 強壮」と用途が異なるものなのですね。似ているといえばボタンもあって(花は完全に終わってた)、こちらは「消炎 鎮痛 通経 排膿 止血」とのこと。「鎮痛」は共通なんだな。
ボタンやシャクヤクもそうだけど、花を楽しむために植えられることが多い植物で薬効もあるとは、なんて優秀なんだきみたち、と思ってしまうものたちが多数。
シラン
これはわたしの実家の庭にもたしか植えてあった。止血剤・排膿・消炎・緩和剤として利用される。
ヤグルマギク
利尿・強壮に。
ほかにも、イチハツ(中国で民間薬として吐剤・下剤)、タチアオイ(花は利尿、根は民間薬として腸炎の治療)、ビヨウヤナギ(解熱・解毒)、フジバカマ(通経・消渇・利尿・解熱)等々。ムクゲなど花は粘渇性止瀉薬・樹皮は水虫の治療って、なんというマルチプレイヤーなんだきみは。
食卓でおなじみのものたちも、また薬用植物。
ウド(発汗・駆風・鎮痛)
食べるところではなく、薬用には根茎を利用。
チョウセンアザミ(葉および根を肝機能保護、蕾を食用)
アーティチョークですね。これは花が咲いているところを見たかった。この大きさのアザミが咲くと圧巻だろうな。
アマチャ(甘味・矯味料)
花もすごくいい。
甘味料といえばステビア
って誰やゴミ捨てとんのは! と一瞬思ったけれども、「これらの製品に使用されています」ということだな。書いといて。
食用といえば、温室でバニラの花を見ることができた。
はじめて見た。これはうれしい。日本のミツバチでは受粉できないので、人工授粉するしかないそう。一日花で午前中しか咲かず、正午ごろにはしぼんでしまうのだそうで、主に暑さを危惧してではあるけど午前中に来て本当によかった。
食用 番外編(ふつう食用とはいわない): 道草を食うのが趣味のわたくし、食って食えないことはないけど、あまり積極的には食べない植物アカメガシワ
胃酸過多・胃潰瘍に効く……どこにでも生えてきて厄介者扱いされることが多いきみが人の役に立つなんて、泣かせるじゃないか。
へー、これも薬用植物なんだ、というものを中心に写真を撮っていたわたくしだが、ザ・薬草(ダイ〇ーか)というものも撮っている。まずはドクダミ(だいたいなんでも効くので、飲んだり揉んで貼ったりしとけば安心←乱暴)
見ていたらヒメヒラタアブがやってきた。かわいい。好きな花と好きな虫、最高! と飽かず眺めていると、近くのおばさま方の会話が耳に入ってきた。なんでもドクダミ茶を飲み続けている妹さんは顔がつるっつるなのだとか。母が庭のドクダミを刈って干したものを山のように送ってくるので、毎日のように飲んでいるワシの顔は特につるっつるではない。がっさがさでもないけど。ともかくドクダミ茶につるっつるの要因を帰するのは早計ではないか、というか、飲んでみたらいいんじゃない?
ヒキオコシ(健胃)
延命草ともいう。ヒキオコシという名前は、腹痛で苦しむ旅人を見た弘法大師(出たな弘法大師)が道端に生えていたこの草をとって与えると、たちまち治って起き上がったという伝説に由来する。めっちゃ苦い。しかし、なにかというと弘法大師よな。弁慶と並んで伝説の宝庫。薬は見つけるわ、温泉は湧かすわ、岩はへこますわ、水は出すわ枯らすわ、木の実を実らせなくするわって日本のジーザスですな。
トウキ(補血・強壮・鎮痛)
有名どころですね。この方のネームプレートの足元に
突然のいらすとやさん。なぜ唐突にここだけに出現……いや、どっかで見たぞ
これだ。入口のところのポスター。ということで「義経の腰掛石」を見に行ってみた。
これか。ああ、出たな義経という感じ。弁慶(家来なのにね)には負けるけど。まあなんか子供が腰かけるのによさそうな高さだよね。でもねえ、と思っているところに放たれた隣のおっちゃんの「誰が見たんや」という呟きをわたしは聞き逃さなかった。そして吹いた。
そうこうするうちに、終了の時間。いや、もう楽しすぎるわここ。2時間なんてあっという間。もっといられる。まあ買ってきた麦茶があっという間にぬるくなった今日、このままいたら熱中症で倒れそうだけど。いやほんと、マジで良さしかなかったのだけど、わたしが今日ここでいちばんときめいたのは、この花。
ヘンルーダ。ヘンルーダという名はオランダ語由来で、英語では "rue" (common rue)という。同じ綴りの動詞は「後悔する」、古くは「悲しむ」という意味。ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」で、狂気のオフィーリアがハムレットの母ガートルードに手渡した花。
5月某日、快晴。いいお天気でよかった。本日は前々から楽しみにしていたところへ行くのだ。動き回ることになるだろうから朝は軽めにしておこうと、紀文の豆乳飲料 紅茶(妙なのも含めて毎年いろんな味が登場するけど、結局これが一番好きだ)を飲んだ。
さて
『フィールドベスト図鑑 日本の薬草』(小学館)。
使うかどうかはわからないけど、一応これをかばんに入れ、9時過ぎにはうちを出て地下鉄に乗る。Y駅で下車、三条通を西へ。帽子をかぶりリュックを背負った人々(中高年が多い)が大勢同じ方向に歩いているが、多分この人たちと目的地は同じなのではないかと思われる。けっこう人来るんだな。途中、水を持参するのを忘れたのに気づき、ドラッグストアに寄ってペットボトルの麦茶を買う。目的地は三条通から南に入ったところにあるのだけど、曲がり角のところに腕章をつけた係の人がいて誘導してくれていた。親切だ。
来ました。
毎年冬に一般公開している(が、来たことはなかった)京都薬科大学の薬用植物園 御陵園が、今回はじめて(だと思う)初夏に公開するというので。初夏、って今日はもうすでに30℃いってるんじゃないのか。おかしいやろ。5月やぞ。
公開は10時からというので、だいたい10時に着くように来たら、時間前から来て待っていた人々が入場していくところだった。たくさんの人が来園しているので入場制限がかかり、整理券が配られた。わたしがもらったのは24番の札。ちょうどわたしが受け取ろうとしていた時に、「自転車どこ置いたらいいんですか!」とかいいつつ突入してきて、場所をききながら手を出して整理券を受け取っていった二人がいたんだけどね。わたしの後ろにはかなり長い列ができてたのに。ほかにもスタッフさんが数人いたのにわざわざ券を配っている人に聞きに来るってこれ割り込む気マンマンじゃないのか。すごいな。軽く呪ってもいいかな。「おまえらのうちの冷蔵庫の扉がうっすら開いて、帰って飲むつもりで冷やしておいた麦茶が生温くなってますように」程度の呪いならいいかな。とか思いつつ日陰に入って待っている間にも続々と人々が訪れ、隣に来た人の番号がちらっと見えたが120番台。どんだけ娯楽がないんだY区……じゃなくて、植物好きが多いってことか。あと薬好きか。中高年多いからな。薬は好きだろう。好きとかそういう問題じゃないのかも知れんが。あと小耳に挟んだ情報によると、どうもテレビで紹介されたらしい。
いよいよ入場。
広い園内に人が大勢いるので全景は写さない。とくに順路はないということなので、空いているところから回ろうかな、と思ったら
まあこういうことになりますわな。これからが期待される畝。
シャクヤク
花の時期がほぼ終わりなので、綺麗に咲いているのはあまりなくて、これもちょっと終わりかけ。
オランダシャクヤク
こちらは花盛り。よく似ているけど、シャクヤクは「鎮痙 鎮痛 収斂」、オランダシャクヤクは「鎮痛 強壮」と用途が異なるものなのですね。似ているといえばボタンもあって(花は完全に終わってた)、こちらは「消炎 鎮痛 通経 排膿 止血」とのこと。「鎮痛」は共通なんだな。
ボタンやシャクヤクもそうだけど、花を楽しむために植えられることが多い植物で薬効もあるとは、なんて優秀なんだきみたち、と思ってしまうものたちが多数。
シラン
これはわたしの実家の庭にもたしか植えてあった。止血剤・排膿・消炎・緩和剤として利用される。
ヤグルマギク
利尿・強壮に。
ほかにも、イチハツ(中国で民間薬として吐剤・下剤)、タチアオイ(花は利尿、根は民間薬として腸炎の治療)、ビヨウヤナギ(解熱・解毒)、フジバカマ(通経・消渇・利尿・解熱)等々。ムクゲなど花は粘渇性止瀉薬・樹皮は水虫の治療って、なんというマルチプレイヤーなんだきみは。
食卓でおなじみのものたちも、また薬用植物。
ウド(発汗・駆風・鎮痛)
食べるところではなく、薬用には根茎を利用。
チョウセンアザミ(葉および根を肝機能保護、蕾を食用)
アーティチョークですね。これは花が咲いているところを見たかった。この大きさのアザミが咲くと圧巻だろうな。
アマチャ(甘味・矯味料)
花もすごくいい。
甘味料といえばステビア
って誰やゴミ捨てとんのは! と一瞬思ったけれども、「これらの製品に使用されています」ということだな。書いといて。
食用といえば、温室でバニラの花を見ることができた。
はじめて見た。これはうれしい。日本のミツバチでは受粉できないので、人工授粉するしかないそう。一日花で午前中しか咲かず、正午ごろにはしぼんでしまうのだそうで、主に暑さを危惧してではあるけど午前中に来て本当によかった。
食用 番外編(ふつう食用とはいわない): 道草を食うのが趣味のわたくし、食って食えないことはないけど、あまり積極的には食べない植物アカメガシワ
胃酸過多・胃潰瘍に効く……どこにでも生えてきて厄介者扱いされることが多いきみが人の役に立つなんて、泣かせるじゃないか。
へー、これも薬用植物なんだ、というものを中心に写真を撮っていたわたくしだが、ザ・薬草(ダイ〇ーか)というものも撮っている。まずはドクダミ(だいたいなんでも効くので、飲んだり揉んで貼ったりしとけば安心←乱暴)
見ていたらヒメヒラタアブがやってきた。かわいい。好きな花と好きな虫、最高! と飽かず眺めていると、近くのおばさま方の会話が耳に入ってきた。なんでもドクダミ茶を飲み続けている妹さんは顔がつるっつるなのだとか。母が庭のドクダミを刈って干したものを山のように送ってくるので、毎日のように飲んでいるワシの顔は特につるっつるではない。がっさがさでもないけど。ともかくドクダミ茶につるっつるの要因を帰するのは早計ではないか、というか、飲んでみたらいいんじゃない?
ヒキオコシ(健胃)
延命草ともいう。ヒキオコシという名前は、腹痛で苦しむ旅人を見た弘法大師(出たな弘法大師)が道端に生えていたこの草をとって与えると、たちまち治って起き上がったという伝説に由来する。めっちゃ苦い。しかし、なにかというと弘法大師よな。弁慶と並んで伝説の宝庫。薬は見つけるわ、温泉は湧かすわ、岩はへこますわ、水は出すわ枯らすわ、木の実を実らせなくするわって日本のジーザスですな。
トウキ(補血・強壮・鎮痛)
有名どころですね。この方のネームプレートの足元に
突然のいらすとやさん。なぜ唐突にここだけに出現……いや、どっかで見たぞ
これだ。入口のところのポスター。ということで「義経の腰掛石」を見に行ってみた。
これか。ああ、出たな義経という感じ。弁慶(家来なのにね)には負けるけど。まあなんか子供が腰かけるのによさそうな高さだよね。でもねえ、と思っているところに放たれた隣のおっちゃんの「誰が見たんや」という呟きをわたしは聞き逃さなかった。そして吹いた。
そうこうするうちに、終了の時間。いや、もう楽しすぎるわここ。2時間なんてあっという間。もっといられる。まあ買ってきた麦茶があっという間にぬるくなった今日、このままいたら熱中症で倒れそうだけど。いやほんと、マジで良さしかなかったのだけど、わたしが今日ここでいちばんときめいたのは、この花。
ヘンルーダ。ヘンルーダという名はオランダ語由来で、英語では "rue" (common rue)という。同じ綴りの動詞は「後悔する」、古くは「悲しむ」という意味。ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」で、狂気のオフィーリアがハムレットの母ガートルードに手渡した花。
There's rue for you, and here's some for me.
We may call it herb of grace o' Sundays.
O, you must wear your rue with a difference!
(The Tragedy of Hamlet, Prince of Denmark Act IV Scene 5)
「あなたにはヘンルーダを、これはわたしにも」「あら、あなたはわたしと同じように飾っちゃだめよ!」― 愛するハムレットに「尼寺へ行け!」(説明は端折るけど、「娼婦になれ」といわれたも同然)と突き放され、さらに(勘違いからとはいえ)彼に父親を殺害されたオフィーリア。「悲しみ」のあまりに狂した彼女が「同じように身に着けるな」ということはつまり、ガートルードには「後悔」がふさわしいということ。このセリフの前に、オフィーリアは兄レアティーズに
There's rosemary, that's for remembrance. Pray you, love,
remember. And there is pansies, that's for thoughts.
「ローズマリーをどうぞ、これは記憶の花。お願いよ、愛しいあなた、忘れないで。そしてパンジーも、これはもの思う花」(園にはもちろんローズマリーがあったけど、なぜか撮ったと思っていた写真がどこを探しても見つからなかったという痛恨の事態)といい、それらを手渡し、受け取ったレアティーズは
A document in madness! Thoughts and remembrance fitted.「狂気にあっても、教えてくれるのだ! 考えろ、忘れるな、俺にふさわしい言葉だ」という。続いて、王である兄を毒殺し、その妃ガートルードを娶って王位に就いたクローディアスには
There’s fennel for you, and columbines.
「あなたにはウイキョウ(フェンネル)、それにオダマキを」といい、手渡す。ウイキョウは「追従」、オダマキは「不義密通」を意味する。てことでちょっと気の毒な意味で出してしまったけど、これがウイキョウ
花にはまだ少し早かった。咲くときれいなんだ。
ついでに。
場面変わって四幕7場、ガートルードの口からオフィーリアの死が語られる。その最初の部分。
ついでに。
場面変わって四幕7場、ガートルードの口からオフィーリアの死が語られる。その最初の部分。
There is a willow grows aslant a brook,「小川に柳の木が斜めに張り出し、その白い葉を鏡のような流れに映しています。そこにあのこはきれいな花冠を手にやってきました」―この花冠に編まれた花のひとつ "long purples" が「シラン」と訳されることがあるのでちょっと調べてみたら、これはオルキス・マスクラ(orchis mascula)というラン科ハクサンチドリ属の草で、上にあげたシラン(ラン科シラン属)とは別の草らしい。写真を見たら紫のランですね(そのまんまやないか&シランもやがな)。それにしても、娘たちが呼ぶ「死人の指」という名前もなかなかのものだけど、「慎みのない羊飼いたち」が呼ぶ、「下卑た名前」って、どんな名前なんだろう。どなたかご存知でしたらお教えください(調べる気なし)。
That shows his hoar leaves in the glassy stream.
There with fantastic garlands did she come
Of crowflowers, nettles, daisies, and long purples,
That liberal shepherds give a grosser name,
But our cold maids do dead men's fingers call them.
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