1日(水)
あけましておめでとうございます。
こ 『香水ジルバ』 ティム・ロビンス
と 『飛ぶ孔雀』 山尾悠子
し 『詩の構造についての覚え書』 入沢康夫
も 『モロイ』 サミュエル・ベケット
よ 『夜の森』 デューナ・バーンズ
ろ 『老薔薇園』 金子光晴
し 『死都調布』 斎藤潤一郎
く 『クレア』 ロレンス・ダレル
某呟き処でフォローしている方がはじめられたお遊びに便乗。
朝
雑煮。
とっくに消費期限は切れているけど、個包装だし大丈夫だろ、でやっつけてやった。何度も書いている気がするが、実家の雑煮は茹でた丸餅の味噌仕立てで、花かつおと刻みねぎを載せただけのもの。
熱は昨日下がったので、今日明日と様子を見て、いけそうなら明後日帰ると実家にメール。
昼
たまごトースト、コーヒー。
昼からは通常営業。通常って、朝食みたいだけど。
おやつ
きつねうどん。
「食べたいものを食べたいときに」でやっているので、通して見ると今日の食事はかなり無茶苦茶である。
本日の夕空
晩は去年(昨晩)の鍋の残り汁に出汁を足し、また鍋。具は去年(昨晩)と同じ。
2日(木)
朝
雑煮。
これでいつ買ったかわからない(去年のいつか)餅は終了。
初めしを炊く。
ピカピカに炊けた。
納豆、大根皮のきんぴら、白飯、厚揚げと岩津ねぎの味噌汁。(※昼食です)
ごはんの残りはおむすびにしておく。
妹家の人々も来るらしいので、明日の実家の晩めしは高確率で蟹であろう。今日のウチの晩めしですか?
片面が黒焦げのホットサンド(チーズ)ですよ。ええ、炭の味しかしません。
3日(金)
朝
焼きむすび、ねぎ汁。
9時過ぎにうちを出て地下鉄でJR駅へ。年を越すとさすがに窓口も券売機も空いている。京都駅まで出て、山陰線ホームの売店で土産を調達して……ちょっと待てここ土産物の販売をやめとるやないかい(ピンチ)。コンコース階に戻り、売店を覗くも弁当やパンを売る店しかなく、結局新幹線ホーム(山陰線ホームの反対側なので、駅を端から端まで歩いた格好)の方まで行って抹茶バウムクーヘン的なものを買い、ことなきを得た。
かなり時間に余裕があったので電車ではうまく座れたが、隣に大きな(婉曲表現)人が来て物理的に甚だしい圧迫を受けるなどした。しかしまあそれも嵐山まで。そのあとはがら空きの車内で解放感を味わった。
今回の保津峡写真チャレンジ(長いトンネルとトンネルの間に一瞬見えるだけの景色をなんとか撮る博打)
まあまあいけましたね。
終点の園部で電車を乗り換え。単線なので対向列車の待ち合わせなどでわりと長時間停車していることがあるが、乗客が少ないので話し声がけっこう響く。某駅で停車中、通路を挟んで隣の席に座ったカップル(京都から来たらしい)の女子の方が「なにここ、駅?」「ど田舎?」とかいうのが車内に響き渡る。挙句の果てに「ここらへんで乗ってる人ら、なんなん?上京?」とかいってるんですけどアンタこそなんなん?「上京」てなんなん?と思ってたらさすがに男子のほうが「上京とはいわんやろ」と多少まともな反応。すると女子「東京以外でも使うし!都心に出るとき!」と抗弁。いや東京以外には使わんし、京都に出るんやったらふつう上洛いうし、そもそもいま京都から遠ざかってるやろ、などと思っているうちに電車が動き出し、隣の〇〇(自主規制)な会話も耳に入らなくなり、心やすらかに本に集中。まもなく駅に着くというアナウンスが聞こえると、二人は席を立ってドアのところへ。えらいど田舎にご用がおありのことで、と思っていると、まだ止まっていない電車のドア横の「開」ボタンを力いっぱい連打している。なんべんも「この電車はワンマンカーです。後ろの車両のドアは開きませんので、前の車両の一番前のドアからお降りください」いうとるやろが。ていうかまだ走ってる電車のドアが開くか。「開かへん!なんなん!どうやって降りんの!?」とかいうてるし。また流れてきたアナウンス聞いて「えーこれ一番前に乗ったやん!」とかいうてはりますが、進行方向わかってますか?百歩譲って前の車両だとしても、あなたがボタンを連打していたドアは真ん中のドアです。二人はまたわたしの横の席に戻ってきた。降りんでええんかいな。この駅では10分少々の停車。この時間を利用して運転士さんが検札に回ってきた。例の女子「あの人に聞こっか!」と突撃。運転士さんに「どうやって降りるんですかドア開かないんですけど!」 運転士さん、顔色ひとつ変えず「前の車両のドアからお願いします。切符を拝見します」 女子「ICOCA で乗ったんで」 運転士さん「ではここで清算していただきます」 女子「あーチャージしてないんで駅でチャージしたいんですけど」 運転士さん「駅ではできないんでここで現金での清算になります」 女子「えー」 運転士さん「降りられますか?」 女子「えーどうしよ……降りまー……せん!」 なんやねん……ていうかどこ行くねん。
そうこうするうちに福知山で乗り換え(あの二人がどうなったかは知らん)、午後1時過ぎ到着。
夏にバッサリやられていたシロバナイモカタバミが復活していた。
イモ部分は無事だったんだな。
除雪車たち
出動する気配なし。
実家着、土産を仏壇に供え、自室に荷物を置き、袋詰めした現金(「好きな本を買いなさい」といって渡すのでお年玉ではない)
及び、貢物をスタンバイさせる。今回の貢物は自然科学セット。
科学のアルバムシリーズの『コケの世界』と『たねのゆくえ』、月刊たくさんのふしぎ『モグラの生活』と『スズメのくらし』。
冷やごはんとおせちの煮しめ、黒豆、昆布巻きを出してもらって居間で昼飯。豆餅も焼いてもらった。ありがたい。食べていると妹家の人々がワイワイ帰ってきた。食べている最中に年始の挨拶をされると人は困るものだということを知る。困るわ。姪たちはお年玉でなにやらゲームソフトを買ったらしい。
貢物と書籍購入費を授与。ふくろうの柄のぽち袋を渡しつつ、「ふくろうはミネルヴァの鳥、知恵の象徴なのだ姪たちよ」といったところ、袋の中を見ながら「ふーん」といわれたのみであった。大丈夫です泣いてません。
晩のアレを皆でナニした。
皆でかにしゃぶ爆食。燗酒が出たが、病み上がりなので辞退。シメに雑炊。
4日(土)
昼
パンチ力のないカレーライス(幼稚園児が基準)。
午後3時過ぎ、妹家の人々は帰って行った。
夕方、昨日のかにしゃぶの出汁を取るのに使った肩肉を無心にほじくる(苦役)。
なかなかメンタルに来る。かに加工場での勤務がつとまる気がしない。晩はそれを使って
かに玉。ちょっとあんが足りない感じ。
夜、鼻をかんだら血の塊が出た。
5日(日)
朝はラジオで冬休み子ども科学電話相談を聴くが、途中で切り上げて出かける。はやめの昼は
鶏卵カレーうどん(大盛)とちく天。カレーは辛くはないがスパイスたっぷりで、食べ進むうちに大汗をかいた。
「カレーで暑くなられたらお使いください」とうちわが出てきた。大満足でお会計
レジ前にはうどんキャンドル。
いつも行っていた温泉が夏に廃業してしまったので、少し遠い温泉へ。近くにはスキー場があるが
雪がない。えらいことだ。温泉はたいへんよろしかった。
6日(月)
午後、荷物持ちとして母の買いものに同行。
生きてます(買いません)。魚市場ではなく普通の小さいスーパー(たまに深海魚を売ってたりする)。
近くの高校の門の上では
なぜか大根が栽培されている。
買いものから帰って荷物を置き、散歩に出る。
明日の七草の足しにと土手に生えているハマダイコンを引っこ抜いたものの、袋も何も持っていなかったので、そのまま鷲掴みでウチまで帰る。野草とはいえハマダイコンは、見た目はふつうの大根と区別はつかない。大根泥棒に見えてはいけないと堂々と歩いたが、そもそもが胡散臭くできているので無駄だったかもしれない。まあいい。ウチが盗人の家だと陰口叩かれるだけだ(よくない)。道すがらハコベ、ナズナがわりのミチタネツケバナも摘む。オギョウ(ハハコグサ)は土手には見つからなかった。
晩
パンチ力のないカレーの残りに煮しめなどの残りをブチ込んだカレーライス。これで正月のあれこれが片づいたが、食べ切らないといけないという強迫観念でカレーとライスのバランスが悪い。わたしの皿だけ。
7日(火)
朝は草粥(七はない)。セリ(庭の)、ミチタネツケバナ(ナズナがわり)、ハコベ、カブ=スズナ(買ってきたもの)、ハマダイコン=スズシロで五草か。
夜、風雨激し。
8日(水)
嵐のため帰洛見合わせ。仕事はしばらくないので、なんでもいいのだ。懐は寒いことこの上ないが、ストレスのない状態を買ったと思えば……
わたしの部屋は日当たりがいいので、窓際にシクラメンの鉢が置かれている。花の盛りには玄関に置かれるのだけど、まだ三つばかり咲いているだけなので、出番待ち。
蕾が上がってきている。
いつ見ても不思議なかたちだ。そうだ、花を見ていつも最初に思うのは、きれいだとかいうことじゃなくて、不思議だということだった。それからうつくしいと思う。きれいだけどうつくしくないものはあるし、きれいでないけどうつくしいものはある。花はうつくしい。
9日(木)
今日帰るつもりだったのを明日に延期。温泉につかりに行き、土産にわかめちくわを購入。
本日のにゃーs
静かに睨み合っていた。
10日(金)
午前中に家を出て、福知山行きの電車に乗車。いつもは乗換駅として通過するだけの福知山で途中下車して、京都方面から来られた方と合流。昨日某呟き処で、「古本と珈琲 モジカ」さんへ「誰か一緒に行きませんか」と呟いておられたのを見て、通り道だし前回行こうと思ったときは定休日だったしで、ハイハイハーイ(みっつ返事?)とご一緒させていただくことにした。大河ドラマ効果で人が増える前に、福知山城の(光秀がつくった)石垣なんかも見たいですよねーなどと話しつつ歩き出す。
お店への経路をプリントして来てくださったので、それを見ながら歩く。駅からは徒歩17分とある。途中、「恵比寿神社」と大きな幟の立つ神社があった。目印の「御霊神社」と駅の間に神社なんてあっただろうか、と地図を確認するが見当たらない。と思ったら、小さい幟にこれまた小さく「御霊神社」とある。こんなに近いと思わなかったので別の神社だと思い込み、うっかりさらに遠くに行ってしまうところであった。危ない危ない。
そこからお店はすぐ近く。映画館の隣の建物へ。
ここだここだ。2階への階段の踊り場には
中島敦の「文字禍」全文(写真失敗)。お店の名前はここからとられたのですね。中に入るや、壁面の背の高い書架にまず目を奪われた。
これですよ。それまで「ごはんどうします?」とか話していた我々であったが、荷物を置くが早いか書架点検。たくさんある本はきれいに整理されていて、とても見やすい。そして、ナボコフ本のあるあたりで福武文庫版『賜物』を見つけ、「これ今リュックに入ってるんですよー」などと盛り上がる我々のもとにスッと出てきた洋書2冊。英語版とロシア語版「賜物」ではないですか。その後も何度かこの手の技を見せていただく。にこにこと感じよく笑っておられるが、お店の方、これは只者ではあるまいな。
ともかく、ランチですよ。
ふわふわたまごのオムレツサンドセット。たまごたっぷりでうまいうまい。コーヒーはわが故郷の町の老舗ヒグラシ珈琲の豆を使用されているそうで、へーと思ったら、モジカさん(でいいのか知らんがこれでいく)、ご出身は意外とご近所の方なのであった。びっくり。
ランチ後は、書架を端から攻めていく。どれもこれも欲しいがぐっとこらえて見て回っていると、ピンポイントでモジカさんが得物(関連書籍)を持って刺しに来られる。ええ、かなり刺されました。満身創痍です。いい意味で。(どんな意味だ)
まだ値付けがすんでいないらしい山から一冊引っ張り出すと……バーコードのところに B〇〇K 〇FF の値札がついておる……100円の。「あっ」とモジカさん。「えーとじゃあその値段でいいです」「いいんですかっ!?(恐縮しつつもホクホク感を抑えきれないわたくし)」「いいですよ。値札剥がしますねー」と本を持っていかれ、表紙にセロファンをかけて持ってきてくださった。うつくしい。自分でやったら爪痕をいくつもつける自信がある。ありがてえありがてえ。
ずいぶん前に品切れになって古書価が高騰していた本、こちらでもやはり定価よりはお高いので少々悩むが、まあこのくらいなら許容範囲かも……だがひとりで決められないので某呟き処に投下。したところ、リプライはなかったが、それはつまり誰にも「やめとけ」といわれなかったということなので、はい、買います。(買う気マンマンでした)
てなわけで、買いました
ロベルト・ボラーニョ『通話』、ベルトルト・ブレヒト『ガリレオの生涯』、ジャンバティスタ・バジーレ『ペンタメローネ(上下)』。
いや、ほんっとにいいお店。ここに住みたいくらい。住める。まあ住むのは迷惑だろうからそこは譲歩して通うことにする。いままでなぜ素通りしていたんだ福知山。帰省の際には途中下車してぜひ立ち寄ろう。
すっかり日が暮れた。駅へ戻る道すがら、なかなか味わい深い看板をいくつも見つけた。路地も面白そうだ。このあたりは時間をかけて歩く値打ちがあるだろう。次は、今回行くつもりだったのに、本に目がくらんであっさり諦めた福知山城も見たいものだが、途中モジカさんに吸い込まれずに行けるかどうか甚だ怪しい。
高速バスで神戸へ行かれる方を見送ってから駅に行くと、ちょうど電車に間に合うか間に合わないかという時間。1時間に1本なので少し焦ったが乗れてよかった。やー、楽しい一日だったな。
mozicaさんは面白そうなお店ですね。
返信削除仕事で年に何度か福知山に行くので、機会があればぜひ訪れてみたいです。
「文字禍」も好きな作品ですし。
電車内のカップルの会話は笑いました 笑。
ある種の不条理コントみたい 笑。
シクラメンの接写はブロスフェルトの写真を思い出します。
ザ・ハイロウズの「タンポポ」という曲に「綺麗じゃなくても美しいものが、ぼくは欲しいんだ」という歌詞がありますが、それも思い出しました。
真島昌利さんもタンポポを見て同じような気持ちになったのかも。
遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いします。
れぽれろさん、コメントありがとうございます。
削除モジカさんは選書がよいのもいいんですが、カフェの空間もゆったりしていて素晴らしいです。ぜひぜひ。
あのカップルは(笑)。女子の暴走っぷりがすごかったです(笑)。たぶん正月初デート企画は、行先を決めずに電車に乗るとかそういうのだったんだろうな。一緒に降りて後をつけたかった(笑)。
ひゃーブロスフェルト! 好きです。生物(植物)を撮っても抒情性が一切ないところがすごい。わたしのはまだ甘い感じがします(笑)。ハイロウズの曲は知らなかったですが、これはわかるな。「綺麗」と「美しい」が違うという感覚は常にあります。
こちらこそ、本年もどうぞよろしくお願いいたします。