2015-12-10

日々雑記 2015 Dec. #1

1日(火)

今日は本を鞄に入れておくのを忘れた。通勤電車の中は激しい妄想でしのぎ、仕事中は昼休みに本屋へ行って何を買おうかとだけ考えていた。昼休み、本屋へ行った。あったら買おうと思っていた本はことごとくなかったが、法月綸太郎の『ノックス・マシン』が目に入った。財布を出した。258円しかなかった。ええ、文庫本1冊、カードで買いました。


2日(水)

毎週水曜は昼過ぎに仕事を終え、電車で帰ってくるのだけど、今日は乗換駅のところでたい焼きを売っていたので、ひとつ買ってコートのポケットに入れて帰ってきた。そのあったかさがうれしい。帰宅してなんやかやしているうちに冷めてしまったたい焼きを、オーブントースターで温めなおして3時のおやつ。


というか昼になにも食べていなかったので、このたい焼きはおやつではなく昼飯に相当するのであった。それにしても、数年ぶりに食べたのだけど、たい焼きってこんなんだったっけ?(なんていってもだれにも伝わらない)


3日(木)

仕事帰りに書店へ行き、頼まれていた用事を済ませ、映画館へ。わたしはなぜか見ず知らずのおばちゃんから、モノ(パチンコの景品のお菓子とか)をもらうことがよくあるのだけど、今日はとなりに座ったおばちゃんから飴ちゃんをもらった。そのおばちゃんが途中かなりの時間寝ていた映画は、ロベール・ブレッソン監督 『やさしい女』(なんという紹介の仕方だ)。当時17歳のドミニク・サンダの目力が凄い。映画は、ドストエフスキーの原作に忠実に、男にひとり語りさせる形式だけど、小説のほうでは、その語りのうちに男の罪が自分自身に対してもあらわになっていくのに対し、この映画では、結局なにが悪かったのか、男にはわからないまま(例えば、質屋の主人である男が、女の質草の十字架から、金銭的価値のないキリストをはずして返してよこす場面や、男がスープをふうふうと吹いて冷ましているのを女がじっと見ている場面などに、どこまでいってもこの二人が理解し合うことはないだろうということは、まあ、いうまでもないことだろうが、よく表れているでしょ)。結婚前に「すべてが無理」と女はいうのだけど、そのひとことにつきるのだろうな、などと思う。

そうだ、ドミニク・サンダといえば、ベルナルド・ベルトルッチ監督『暗殺の森』(デジタル・リマスター版)、ちょうど今みなみ会館で上映中なのだった。やはり観ておくべきであろうな。それと今年亡くなったマノエル・ド・オリヴェイラ監督 『アンジェリカの瞳』、これ予告編を見て傑作と確信した。観ねば。


6日(日)

少々具合が悪いので、葛根湯を飲んだ。あまりのことに某呟き処で呟いてしまった。


ほんとに、みんなは水か白湯で飲んでね!


7日(月)

昨日から熱が出ていて、今日行くつもりだった千本釈迦堂の大根炊きはあきらめたほうがよかろうと判断、一日寝たり本読んだり。法月綸太郎 『ノックス・マシン』(角川文庫)読了。

ノックス・マシン (角川文庫)
法月 綸太郎
4041033608

これが初法月綸太郎。ミステリ読みでもSF読みでもない(高校のころまで古典的なものは多少読んではいたが)わたしだけど、これは面白かった。終始ニヤニヤしっぱなしで、最後、ホロリとさせられる。4編それぞれに面白さのポイントは違うのだけど、「特異点」がテーマであるという点でゆるやかにつながっている(そういう意味で、「バベルの牢獄」だけが異色」という意見には与しない。むしろ「引き立て役倶楽部の陰謀」がわたしには異色なものに見えた)。ミステリにもSFにもそれほど興味のない身としては、紙の本でしか味わえない仕掛けがほどこされている「バベルの牢獄」が読んでいて一番楽しかった。


8日(火)

きょうの晩飯は湯豆腐。近所のスーパーでセールしていた「たっぷり鍋豆腐」という、 かなり柔らかい充填豆腐でつくったのだけど、いつもの木綿豆腐の感覚で箸で取ろうとしたら、どえらく難しくて、気合一発エイヤっと取り鉢にとっているのだが、その呼吸はおそらく金魚すくいに似ているのだという気づきを得た(とかいってないで網杓子使えよ)。


9日(水)

本日は休み(そのかわり来週は倍働く)。体調がずーっとぐずぐずしてるので、午前中は布団の中で本を読んでいた。

マリコ マリキータ (文春文庫)
池澤 夏樹
4167561018

今コレ読んでます。



昼うどん。一味とうがらしをかけるつもりで、誤って粗挽き黒胡椒をかけてしまった。これはこれで、うまくないことはなくなかったので、みんな注意して!ねぎとたまごだけのうどんに黒胡椒は強すぎるから!

ベランダの皆さんのうち、寒さに弱い皆さんを部屋に招き入れる事業を行う。


冬の風物詩、ベランダ民ズ・コンセントレーション・キャンプ。


夜、某呟き処にて、読書会の話が持ち上がる。課題図書はイスマイル・カダレ 『夢宮殿』(創元ライブラリ)。

夢宮殿 (創元ライブラリ)
イスマイル・カダレ 村上 光彦
4488070701

話がまとまったはいいが、参加者全員、まずこの本を積読本の中から探し出すことからはじめなければならないという。なんとも業の深い話であることよ。


10日(木)

植物が部屋に入ってくると、帰宅時に「ただいま」というようになる。

『夢宮殿』発掘事業に着手。現在のところ、未発見。

2 件のコメント:

  1. そのたい焼き、いかにも「外はパリパリ」って感じですね。

    (たい焼きってそういう食べ物だっけ?)


    ところで暖冬と言われておりますが、今晩からまた冷えるそうです。
    一層あたたかくしてご自愛ください・・・

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    1. omojiさん、コメントありがとうございます。

      うん……どんなんでしたっけね、たい焼きって……そういえば、買うときにカスタードとか抹茶とか種類があったので、「あんこのをひとつください」っていって買ったんですよ。「『たい焼き』ひとつください」っていってない。だからあれはひょっとしたらたい焼きではなかったのかもしれない。もう誰にも真相はつかめない。

      omojiさんも、お忙しいでしょうが、お風邪など召しませんように。ブログ更新たのしみにしてますねー。

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