2017-07-31

「どこのだれがお父さんかわからない」――今週の「夏休み子ども科学電話相談」2017 Jul. 24-28

毎日暑くてやってられない今日この頃、夏のお楽しみ「夏休み子ども科学電話相談」がはじまりました。某呟き処において、毎年この時期は滅茶苦茶な勢いで実況するため、フォロワーさんが面白いように減っていく麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。

以前は一日の放送のまとめをやっておりましたが、今回は一日の私的ハイライトに絞り、ときにオマケもまじえつつ、一週間分まとめてみました。今週の司会は藤井彩子アナウンサー。


24, Jul. (Mon)

6歳男児「シーラカンスはどうして日本にいないんですか」

答える先生は、沼津港新開水族館 シーラカンス・ミュージアム 館長の石垣幸二先生。質問者は水族館で冷凍シーラカンスを見たというので、せんせいとてもうれしそう。「シーラカンスの化石が日本で見つかっていないから、日本にはいないということになっているんだと先生は思います」と、まだみつかっていないだけかもしれない、もしかしたらいるかもしれないから「いっしょに探そう!」と熱いお誘い。

石垣せんせい「いっしょに探そう!
6歳男児「……」
藤井アナ「せんせいがいっしょに探そうって。どうかな?」
6歳男児「……」
藤井アナ「……そこはあんまりなのかな」
石垣せんせい「ぼくががんばって探すね

見事な流れだけど……せんせい……負けるなせんせい……


25, Jul. (Tue)

小4男子「種と球根はなにが違うんですか」

迎えうつのは田中修先生。

田中せんせい「チューリップは本気になったら種もとれるの」
小4男子「えっ!」
田中せんせい「でも種つくらしてしまうと、栄養が全部種の方に行ってしまって、球根はできない。花一つ咲いたら種は50個くらいできるの」
小4男子「えっ!」
田中せんせい「球根は5個くらいできる。増やそうと思ったらどっち使う?」
小4男子「種」
田中せんせい「そうやね。けど球根は種より早く育つし、親とおんなじ色の花を咲かせる。種から育てると、どんな色の花が咲くかわからないの」
小4男子「ええっ!」
田中せんせい「めしべに花粉がついて、種ができる。でもどの花の花粉かわからない。見張ってるわけやないからね。種を作った花がお母さんやとしたら、どこのだれがお父さんかわからない

「どこのだれがお父さんかわからない」!しばらく笑いが止まらんかったわ。でもそらそうやね。球根はクローンだから親と同じ性質の子になり、交配で種ができると「お父さん」の性質も受け継ぐので、子にどんな性質が出るかわからない。

田中せんせい「だから、新しい品種を作っていくときは、種でやっていくの」
小4男子「へえー!」

小4男子くんのリアクションもとてもよくて、いい試合(?)だった!


26, Jul. (Wed)

今日はなかなか盛りだくさん。

小1男子「チョウチョはなんでまっすぐ飛べないんですか」

藤井アナ「どこで見たの?」
小1男子「このまえ捕まえに行って、標本にした」
藤井アナ「なに色のチョウチョ?」
小1男子「ナミアゲハ」

ちゃんと名前がいえる小1男子。久留飛せんせいの登場です。

久留飛せんせい「アゲハチョウ捕まえて、標本にしたんやね。すごいなあ。捕まえるの難しくなかった?」
小1男子「難しかった」
久留飛せんせい「動きが前後したり、まっすぐ飛んでないよね。ということは、鳥が捕まえようとしたときも、葉っぱみたいにフラフラ飛んでたら難しいよねえ。それがチョウチョのやり方や

質問者の「捕まえた」から「捕まえるのが難しかった」を導き、「フワフワ飛んで、捕まりにくくする、それがチョウチョのやり方や」!せんせいお見事!もちろん、なぜ飛び方がフワフワするのかの原理(4枚の羽根を同時に動かすから)の説明も怠らないせんせい流石!しかしそこへ、

藤井アナ「小1男子くんにホントは捕まりたくなかったんだって」

見事な追い打ちでした。


本日の瞬殺:

小5女子「スズメやカラスの死んでいるところを見たことがないのですが、どこで死んでいるのですか」
中村せんせい「いろんなところで死んでます」

秒でした。(もちろん死骸を見ない理由「捕食されたり、自然死・事故死の場合もそれを食べる動物がいる」という説明はされました)


本日のせんせいそれは……:

小4女子「お掃除ロボットはなぜ四角でなくて丸い形が多いのですか」
藤井アナ「おうちにお掃除ロボットはあるの?」
小4女子「ありません」
高橋せんせい「うちにはあります」

待ってせんせいそれ自慢?

高橋せんせい「ぼくはお掃除当番が嫌で、お掃除ロボットを買いました」「お掃除ロボットを使うと、ロボットが掃除しやすいように物をどけたり、人間も掃除するようになります」「それがお掃除ロボットのメリットです」

メリットって……本末転倒っぷり(そうじゃないけど)が素晴らしい。

藤井アナ「せんせいのおうちにはお掃除ロボットがあるんですね」
高橋せんせい「はい、ぼくのかわりに掃除してます」

なんか、なんかせんせい可愛いわ。しかしそんな(どんな?)高橋せんせいに、来るべくして来た(といおう)難問が襲いかかる!

小2男子「アトムは善と悪が判断できると聞きましたが、いまのAIにそれは可能ですか」

さあどうする!

高橋せんせい、冷静に「そもそも、いいことと悪いことってどういうことだろう」と問いかけ、「わかりません」と答えられると「そうだね。ぼくもわかりません」と、この問題の難しさ、善悪の判断に絶対的な基準は存在しないことを説明するせんせい、素晴らしい。すでに科学相談じゃない問題にも真摯に向き合う姿勢が尊い。


27, Jul. (Thu)

今日のハイライトはやっぱりこれかな。

小5男子「アリが一匹いなくなったら、他の仲間は気づくのですか」
久留飛せんせい「結論先に言うと、多分わからへんと思う」

「いっしょに出かけて行って、『あいつ帰ってけえへんし、どうしとるんやろ』って、心配になるわなあ。逆に『俺いなくなって、あいつ気がついてくれるかなあ』って。その、『あいつ』っていうのを認識してるかというのは……たぶん……」なんかちょっと切ない話になってきた。

久留飛せんせいといえば、今日はほかにも、小4男子の「カブトムシは地面に上がったら、なぜ1週間で死んでしまうのですか」という質問に、「1週間より、もうちょっと長く生きるんやけど、もっと長く生きたらいいのに、って思ってんの?」「はい」「そうやんなあ。カブトムシが長生きしたらいい、っていうのと、カブトムシ『たち』が長生きしたらいい、っていうのはちょっと違った意味になるんです……わかりにくいやろと自虐しながら、個体と種の生存について説明するせんせい。「すぐ死ぬということは、次の卵をうむのが早くなるということ。ひとつの世代の寿命が短いと、それだけ環境の変化への適応力が高くなって、種全体が長く続いていくことができる」と説明して、

久留飛せんせい「小4男子くん、どっちがいい?長生きしたい?」
小4男子「長生きしたいです」
久留飛せんせい「そうやんなあ」

ほかの先生方爆笑。


本日の味わい深い会話:

6歳女子「台風は合体するんですか」
藤井アナ「6歳女子ちゃんはどう思う?合体すると思う?」
6歳女子「しないと思う。見たことないし、たぶん仲よしじゃない」



本日の勉強になりました(わたしが):

林せんせい「サメには瞬膜という特殊な膜があって、目のゴミを落としたりします」
と、ここへ
成島せんせい「鳥にもありまーす」
飛び入り!
林せんせい「やはり鳥は魚から進化したという証拠ですね」
成島せんせい「そうですね」

ほおお!サメにも鳥にも瞬膜があるのは知ってたけど、結び付けて考えたことって、そういえばなかった。やっぱり面白いなあ、この番組。


28, Jul. (Fri)

本日は昼前には出ないといかん用事があるが、聴けるところまで聴くよ。

最初の挨拶で久留飛せんせい「疲れてます」……そうですね、ここまで毎日出ずっぱりですからね。そんなせんせいのお疲れが垣間見えた発言

久留飛せんせい「いもむしはいもむし状の形をしている」

間違ってません!間違ってませんが、せんせい!!


5歳女子「どうしてツマグロヒョウモンの幼虫は毒がありそうなのにないんですか」

藤井アナ「見たことあるの?どうだった?」
5歳女子「毒っぽかった」

いいなあ、「毒っぽかった」……さて、久留飛せんせいの回答は、

久留飛せんせい「あれは毒々しいなーって、わざと見せてるんです。黒と赤の模様は、なんか毒あるんちゃうかこいつ、っていう色。世界共通の合図みたいなもん。テントウムシも黒と赤。かわいいけど、さわったら黄色い汁をちょろっと出す。あれ舐めたら苦いねん。いや、舐めんでええけど。セアカゴケグモて知ってる?(「わかりません」)わからんわなあ。黒の体に、背中に赤の模様がついてます。これは本当に毒がある。こういうふうに、毒をもってるやつともってないやつがいる。毒もってないけど、もってるフリしてるのがおるんやねだからねえ、5歳女子ちゃん、騙されてんねや


本日の国司せんせい(今年は藤田せんせいがいらっしゃらないなあ):

「月がないとたいへんなことになるよ!?お月見ができないし、潮の満ち干がなくなっちゃう」

せんせい、お月見ができなくなる方が先ですか!


本日のコミュニケーション・ブレイクダウン:

5歳男子「アリはどうして土の中に住んでいるのですか」

藤井アナ「どうしてそう思うの?」
5歳男子「はい」
藤井アナ「……5歳男子くんはどう思う?」
5歳男子「うーーーーーん、庭にいると思う

強敵現る!

藤井アナ「じゃあ、せんせいに答えてもらいましょう。久留飛克明せんせいです」
久留飛せんせい「5歳男子くん、おはよう!」
5歳男子「……」
久留飛せんせい「……おはよう?」
5歳男子「おはよう」

手ごわい!

久留飛せんせい「アリには巣を作るアリと作らないアリが……巣って見たことある?」
5歳男子「見たことない」

どうするせんせい!

久留飛せんせい「……話を進めるね」

しゃあなしですな。そもそも巣とはなにかがわからない子を相手に、アリ社会について話を進めるせんせい。そのうちに熱が入ってきて

久留飛せんせい「子どもはいろんなこと考えるよね。アリの巣見つけたら、水かけたりせえへんかった?」
5歳男子「……」
久留飛せんせい「いい子はそんなんせえへんわな」
藤井アナ「そもそも巣を見たことがないので」
久留飛せんせい「そうやんなーそうやんなーw」

ナイスすぎるツッコみに死ぬかと思った。今日はもうこれで腹いっぱい。出かけますわ。また来週!

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